おねーさんかわいそすな『ネスト』、おとーさんが必死な『ロスト・フロア』を観た。 [映画]

     
『ネスト』
92分。
最近がんばっている感のあるスペイン作品。
観ると意外に良作の『スガラムルディの魔女』の監督さんだそうな。
↓コレ
『スガラムルディの魔女』

特別な設定や驚きの展開とかはないんですが、
オチも最近ではありがちかもしれませんし…。
でも、ヒロインのマカレナ・ゴメスさんの哀切漂う演技によって、
現実を蝕む幻覚の怖さや、恋の悦び、不安、疑念など、
感覚がリアルに伝わる良さは素晴らしかったです。

姉妹、抑圧、破綻、のパターンでいくと『肉』の方が
(自分の感想をリンクしようとしたんですが、見つからなかった)
良作ですし、宣伝文句に出している『エスター』とは、
かなり作品の毛色が異なると思います。
ものすごく感情を揺すぶられるわけでもないので、
逆にちょいサスペンスくらいが好き、という方にオススメです。


     
『ロスト・フロア』
88分。
こちらもスペイン作品。
本国では大ヒットしたそうで、そんな情報があったせいで、
期待が入ってしまったのが良くなかった_/>O
わりとありがちなスリラーで、新機軸とかは特にないのです。

ただひたすら、いなくなった子供を探して、
マンションをウロウロしまくり、ケータイをかけまくる、
実はそれだけの会話劇でした。

『96時間』っぽく描きたかったのか、お父さんの必死さがすごいのです。
これも、ちょいスリラーっぽい作品が好き、という方にはオススメです。


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狩られる前に狩ってやる『デッド・ハンティング』を観ました。 [映画]

     
『デッド・ハンティング』
マンをハンティングする系の、
広告と現物が合致した正しい映画でやんした。
その悪い例
↓コレ
『キリング・ゾーン』

あ、作品としてはC級です。
でも89分ですし、とてもよく まとまっていました。
この手の、ちょいグロサスペンスアクションが好きな人には、
限りなく凝縮した良作になっています。
だからその手が好きな人には、
期待しすぎず観るのをオススメします。

以下、ネタバレ有りの感想。

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微妙さが微妙な『マッド・ナース』を観た [映画]

     
『マッド・ナース』
2013年ロシア初公開。
うーん、でもアメリカ作品なのかな???
ちょっと不明です。

全体的にギャグっぽい描かれ方をしているんですが、
……ナースの衣装とか、ステロタイプのキャラクターとか、
楽しいなぁ(*^_^*) って部分はすごく少ないです。

浮気男に裁きのメスを!
みたいな、いまどきの日本を切り取ったようなテーマなんですが、
その割には『ハード・キャンディ』のような苛烈さはありません。
公平な気持ちで裁いていたのは物語の枠外で、
唐突に、ヒロインが横恋慕した新人ナース(ラブラブの恋人のいるノーマルな女性)
を巡るグダグダが始まります。
ヒロインも他人を肉体以外で魅了するほどカリスマがないせいか、
出会う人で最後まで彼女の味方をしてくれるのは一人だけというアリサマ。

始まり方がちょっとおしゃれでブラックコメディっぽかったので期待したんですが、
年下の女の子の尻を追い回して、
フラレて場当たり的な犯行を繰り返す段になってしまうと、
うーーん(-_-;)

ラスト付近は新人ナースに罪をかぶせて、
自分は傷心で旅に出るとかなんとか言って別人になる、
とかいう展開かしら?
と、想像していましたし、実際、そういう描写はたくさん出てくるんですが…。
たとえばラスト、院内で騒ぎが起こって、
新人ナースとヒロインはがっぷり四つに相まみえます。
けれど広い病院内で、ヒロインが「新人にやられた」と言うので、
警備員は新人の方を犯人だと思って探してるわけです。
なのに味方につけたソイツらを、ヒロインは不必要に殺すんですよ。
残虐描写が足りん、と思ったのか、終盤、突然ガツガツと意味なく殺し始める。
そこらへんが、物語としては破綻しているように感じました。

人の感想を読ませていただいてると、
ヒロインより新人びいきの方が多かったんですが、
わたし的には、この新人、
立場の強い人への依存度が高いくせして、
(義父との関係に関しても、どう見てもオンナとしての甘えで、
彼がいる間は母親と同居して、いなくなったら彼氏と住む、って、
なんかおかしくありません?)
不要なときは親切な人もうっとうしく感じる、
という、典型的なお姫様タイプで苦手でした。
世界の中心は自分、というやつね。
だからってヒロインもどうかと思うのは、
最初のアプローチがクスリを飲ませてセクロスという(^^;)
優しくて頼りがいのある先輩として接していれば、
そのうち機会もあっただろうに。
しつこく食い下がる、というのも、
気持ちはわかるけど、恋愛としてはうまくいくはずないよね('_')

それでも全体的には、84分という短さの中にキレイにまとまっていたと思います。
ヒロインのお顔は好みの分かれるところですが、
わたしはキライじゃありませんでした。
コレクションモデル系美人なので、男性は嫌いそうだなぁ。

もとは3Dだそうですが、
ヒロインがお尻をふりふり歩くところとか、
手術道具が飛んでくるところくらいしか、
意味は無かったんじゃないでしょうか。

とりあえず短い作品なので、暇つぶしには最適です。


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『スター・ウォーズ フォースの覚醒』にまつわる思い入れ問題 [映画]

swfa.jpg

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
公開中。

面白いか面白くないかで述べるなら、
百パーセント面白い映画でした。
わたしと同じ『ファントム・メナス』シンドロームの方々にも、
(『ファントム・メナス』シンドロームの記事→http://rose-knife.blog.so-net.ne.jp/2015-12-20
安心してオススメできる傑作です。
また、大切なのは作り手である人々が、
おそらくは皮肉なことに、生みの親であるジョージ・ルーカスよりずっと、
わたしたちの世代に優しかったこと。
わたしたちの期待を裏切らぬよう、
不安を癒やすよう、限りなく、
おそらく現時点で可能な限界まで、
棺桶に片足を突っ込んでる人々のための気遣いをしてくれたこと。
ありがとうJJエイブラムス。

というわけで、
以下はこの作品から端を発し、
ここ数週間言葉にするのが難しかった〝思い入れ〟問題について。
興味のある方だけ以下から読んでください。
例としてアイドルネタなどもありますので、嫌いな方はご注意を。


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ベイっぽいと思ったらベイだった『ミュータント・タートルズ』 [映画]

     
『ミュータント・タートルズ』
2014年公開作品。
吹き替え版が話題(^_^;)

中身は十歳未満までの無垢な子供が観る作品でした。
わたしのように、
文句言いつつ毎日のようにB級作品を鑑賞するひねくれ者には向きません。
「この会話、面白いでしょう?」
と、わかりやすく提供されている会話を、
〝垢抜けていない〟と感じてしまう_/>O
「このスピーディーな展開どう?」
と、わかりやすく展開する物語を、
〝どっかで観た〟と感じてしまう_/>O
「カッコ悪いようでカッコいいでしょ? このスーパータートルたち」
と、嫌み無く押し出されてるキャラを、
〝これが『松野家の六つ子だったらなぁ』〟とか、
ベイに爆破されそうな妄想を抱いていた_/>O

そもそも悪の秘密結社みたいな連中のルーツが判らないので、
(アニメ全盛期の世代ではないし(-_-;))
ど派手なカッコしたショッカーみたいな人たちが、
なんていうの……言っていいの?
カッコ悪くて…
〝ヨロイ武者メタリックシルバータイプ〟が敵のリーダーなんですが、
これも出自がよくわからない。
ヨロイそのものが生きてるのかな?

でもいろいろ考えなくても、
わたしがいろんな映画を観ていないときだったら、
きっとワーキャー観られたんじゃないかな。
ただ、この映画製作そのものが、
現在三十代後半から四十代前半の、
ミュータント・タートルズアニメ全盛期世代に向けられたものだと思うんですよ。
子供連れて一緒に観に来てね♪
って、そういう楽しい回帰映画だったと思うんです。
だけど、少なくとも大人を満足させる出来にはなってませんでした(>_<)
『トランス・フォーマー』とかは、最低限、ロボがカッコイイと思えるんですが、
やっぱり亀は無理ですよ_/>O
思い入れがある人は、きっと亀の姿でもイケると思うんですが。
思い入れのない人間にとっては、ハードルが高すぎる。
といって、全体的に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のような
搦め手の巧さ、というのもないんですね(>_<)
だってベイだから!

具合が悪くなっちゃって、
いまだあげられずにいる『スター・ウォーズ フォースの覚醒』ネタにも書いたんですが、
思い入れって、扱いの難しい宝物ですよね…。

十歳未満のアクション映画が好きな健康な子か、
『トランス・フォーマー』系の映画を観たことがないという人にオススメです。
ぶっちゃけ、
ふだん映画をたくさん観る大人が楽しめるポイントは限りなくゼロに近いです。
(あくまでも、思い入れ度合いに比例)

【注】
いつものように吹き替えが誰かは調べずに観ました。
ヒロインの吹き替えはベッキーさんです。
棒でした。
ヒーローたちの先生はカンニング竹山さんです。
棒でした。
また、竹山さんは特に役作りもしていないのか、
あからさまにキャラの年頃と声が合っていません。
(でもそれは竹山のせいではないとは思うよ…)
さらに、ちょい役で特別出演の女上司は、
(無駄に豪華なウーピー・ゴールドバーグ)
泉ピン子さんです。
上記二人よりは幾分マシですが、
合っていないことに違いはなく、
全体的にひどい有様としか言いようがありません。
子供向けなのに吹き替えがダメダメというのは、
困ったものです。
わたしは吹き替え版で観ましたが、
大人は字幕版で観た方がいいかもしれません。
どうせ大した話ではないので、
言ってることが多少判らなくても影響はないと思います(きっぱり)。


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あけました。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」をまったりと。 [映画]

遅くなりましたが、
2016年も細々と頑張っていきますので、
よろしくお願いしますm(__)m

年明け早々、ちょっぴり具合が悪くなってしまったのですが(^_^;)
ちょっとずつやっていきますので、
『蜂の巣嬢』とか、そこらへんも待っていてください。

というわけで、
映画感想です。


     
〈ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー〉
2014年公開作品。
すごくよく出来た良心的な作品で、
ほとんど責めどころがありません。
でも、じゃあ万民受けするのか? というと、
やっぱりソレは無理なのです(-_-;)

特異な作品ではあるけれど、
以前にも述べた〝マーベルはぁはぁ系〟なので、
そこかしこにソレっぽい描写が出てきます。
他のマーベル作品を知っているとニヤリとしてしまうシーンがあったり。
でも万民受けしない、とわたしが感じるのはその点ではなくて。
ヒロインが眉なし緑で、
アウトローがアライグマだからです。

個人的に、どうしてノーラン版のヒーローが日本で受けたのかと言えば、
間違いなくヒーローを〝格好良く〟描いたからだと思います。
別にリアルタイプでなかったとしても、
日本人は(特にお金を落とす層は)〝カッコイイ〟と感じれば惚れるものです。
もし〈アバター〉の宇宙人の見た目が「スピーシーズ」とか「スペースヴァンパイヤ」みたいだったら、
『わたしの好きな映画』として、〈アバター〉はもっと支持されていたでしょう。
(アレって、3DCG映画としての評価以外、薄いですよね…)

だからって、別に見た目問題を批難しているわけではなくて、
これは国民性なんだろうな、としか言いようがない。
近年になって韓国などのイラストレーターさんがジャバンテイストに寄ってきたけれど、
どこの国のテイストも、日本のアニメやアイドル、
要するに母体の大きなファン組織を抱えたジャンルに寄ってくれることは滅多にないです。
だから稀に、「スター・ウォーズ」や「マトリックス」、「パシフィック・リム」など、
超ジャパン大好きーーーッ
と、画面いっぱい爆発してる映画は超絶ヒットするし、
受け入れられて花開く。
どんなにアメリカでヒットしていても、
「アベンジャーズ」は今以上にはヒットしないだろうし、
「ミュータント・タートルズ」や「ファンタスティック・フォー」が、今更バカ受けすることはないでしょう。

そういった薄ぼんやりとした、国民性を自認しつつ、
この作品は『もっと当たってもよかったなぁ』と、わたしは思いました。
特に大人はもっと子供を連れて行ってあげてもよかったんじゃないかなぁ。
ギリギリのギャグなどはあったし、
なんか前宣伝の印象も、
『アライグマなんて可愛いの出てますけど、実は大人向けなんですよ~』
って空気感だったけど、(「テッド」っぽく売りたい気満々だったよね)
いや、違うなぁ(´д`)
この映画はさぁ、子供に
『出発地点がどこでも、着地点さえ正しければ報われる』
という、マンガらしい夢をみせてくれるんですよ。
どんな悪でも、『間違っていたんだ』と自覚できれば、道はまた開けるし、
復讐がどれほど無益かということも教えてくれるのです。
大人なんか、コレ見ても
『マーベルとしては異端だけど意外と面白いじゃん』
という感想ばかりですよ(・ω・)

で、
実際、穢れた目で観ると、大絶賛できるような代物ではないんですよね。
すごくよくできるけど、
『で?』
と、なってしまう。
それはコレが、異端だとしてもやっぱり〝マーベルはぁはぁ〟の系譜を、
脈々と受け継いでいるから…。

いろいろ書いてしまいましたが、
基本的には映画として、キャラの心情も、物語の流れも、
非常にわかりやすく描かれたうえで、
二時間にしっかり収めていたし、
納得のハッピーエンド(安心して歌エンディングまで観てください!)ですから、
非常にオススメの映画です。
クスリと笑いたい人や、ちょっとホロリとしたい人なんかにもオススメの、
わたしにしてはめずらしく、ファミリー向けの映画なのでした(*´ -`)

追記・
わたしは吹き替え版で観たのですが、
字幕にすれば良かったとちょっと後悔しています。
これは、物語でもっとも重要な役割を果たすアライグマの声が、
吹き替え版だと〝ヘタ〟だからです。
〝ドヘタ〟とまでは言いませんが、主役が素晴らしくなめらかなので、
アライグマの声が浮きまくります(-_-;)
たぶん別撮りだからよけいに浮くのでしょう。
わたしはどうも女性の棒には点が甘いのですが、
男性の棒には辛いようです。
声を聞くたび舌打ちしそうに不快でした。
こだわりのない人はどちらでも良いと思いますし、
何より子供には吹き替え版で充分と思います。
一応、情報として。

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とりあえずかる~く「キングスマン」の感想をあげてみる [映画]


「キングスマン」
2015年公開作品。

うーん、面白かったです、わたしは。
でも日本での宣伝の仕方はまったく間違っていたとも思います。

わたしは結構テレビッ子なので、
「キングスマン」の販促もずいぶん見た記憶があるんですが、
どれもだいたい「極上のスパイ映画」として紹介していましたよね。
なんとなく小声で「キック・アスの監督さんなんですよ」
とも言っていたような気もしますが、
(すみません「キック・アス」まだ観てないんですわたし(T_T))
正直観ていないわたしが言うのもなんですが、
「キック・アス」って、かなりマニアック系人気の作品ですよね。
その紹介の仕方で、「あ、あの手の作品か」
って、普通の人に伝わるかなぁ。
わたしは〝その手〟はきっと好きだな、と思っているんで、
機会があったら観ようとは思っているんですが。
(「ウォンテッド」は観てます。後半の主人公の覚醒後が好きです)

テレビCMとかで流れていたシーンも、
まぁ、仕方ないとは思うんですが、
グロシーンなんて予想させる切り取り方ではなかったし、
いわゆるブラック・ユーモアに溢れた作品だとは、
ちょっと想像しがたかった気がします。
(「キック・アス」のファンの方なら想像がついたのでしょう)
大作の触れ込みだったのに、日本で今ひとつ盛り上がらなかったのは、
相変わらず、この前情報偏重のせいじゃないかなぁ。
「ちょっと笑える正当派イギリススパイものですよ」
と説明したら動員を上げられるのは判りますが、
やっぱり現代の口コミ力を舐めない方が良いかと。
「ワールド・ウォーZ」の時みたいに、
「前宣伝と内容が違う!」
と、思った人は大勢いそうです。
特に終盤の笑グロの連発は、
「マーズ・アタック」に近いものを感じました。
いや、ぶっ飛ぶのが火星人でない分、
こっちの方が〝笑ってはイケナイ、でも笑えちゃう〟
という、ね(^_^;)

¥400でPSレンタルしたんですが、
元が取れるくらいには面白かったです。
二時間ちょいなのがもったいない。
犬の活躍とか、できたらチャーリー仲間分岐とか観たかったですね。

とてつもなく観る人を選ぶ作品ではありますが、
〝面白い〟です。
ただし、純粋なドラマとか、バーフェクトなストーリー展開、
そういう、予定調和しか好きじゃない人には受け付けられないと思います。
人が死んだり殺し合ったりするシーンを〝悪趣味なお笑い〟として強調表現しているので、
これで爆笑できる人間でないと、
「悪の教典」よりグロく感じると思います。

紳士のたしなみがどーたらとか、
テーマ性っぽく出てきますが、そういうのは、
血飛沫舞い散らせてゴリゴリに人が死んでいくのを
柔らかく受け入れるためのオブラートにすぎません。
飲み込んでも意味はないのです。

たぶん普通に紳士スパイを堪能するなら、
「007」を素直に観るのが正解でしょう。
でも正義とか階級とか世の中の枠組みとか、
ちょっとシニカルな視点で眺めてみたかったら、
この映画にチャレンジするのが正解です。
グロ耐性があって、残酷さを嗤える自分を受け入れている方にオススメです。


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「スター・ウォーズ/ファントム・メナス」シンドローム [映画]

「ファントム・メナス」シンドローム

「ファントム・メナス」の感想ではないし、
まして「フォースの覚醒」の感想でもないのです。
(体調が良ければ明日観に行きます)

〝以下は数日前に書いたコラムです〟

たまふるを聴いて「スター・ウォーズ フォースの覚醒」
が観たくなり、ちょっと劇場の席を調べたら、
18日の初日が普通にガラガラだった。

たまふる
(ラッパーの宇多丸さんの映画批評がステキなラジオ。
非公式な自腹批評なので、信頼できますし、
趣味が似ているので大変参考になります。
趣味が違うと地獄だと思います(^_^;))
を聴いていて、同じ世代のスター・ウォーズ好きのわたしが思うに、
やはり「ファントム・メナス」ショックって、
製作サイドが思う以上に大きかったのではないかなぁと。

「ファントム・メナス」は、
特にスター・ウォーズ好きでもない親友を誘い、
有楽町の先々行上映をガッツで観た口です。
期待と歓喜のあまりウレションせんばかりの興奮で劇場に入り、
(確か五階くらいまでの階段を徒歩でのぼって入場したのさ)
あのテーマが流れたときには拍手が起こり感涙したものです。
そして映画が始まって30分くらいしたときには、
「眠い」と感じて愕然としましたよ。

眠いって……。
20年楽しみにしていたスター・ウォーズの新作を観てるのに、
わたし、眠いって……。

とはいえ、ですね~
わたしが好きなのはあくまでもスター・ウォーズ サーガでいうところの、
エピソード4,5,6、
キャラでいうたらルークゲキ推しのヒロイックファンタジー大好きッ子にすぎません。

わたしが小、中の時にスター・ウォーズ大好き!と公言していた頃は、
とにかく第一人気はハン・ソロ、
インディ・ジョーンズ効果も相まって、ハリソン・フォード人気絶頂期でありました。
ストーリーもフューチャーされるのはソロとレイア姫の恋愛模様ばかり。
男の子たちはちょっと斜に構えているので、
やはりストゥーム・トルーパーの外観であるとか、
帝国側の兵器のかっこよさ、
ダース・ベイダーのビジュアル面なんかにキャッキャうふふしてたわけですよ。
ルークなんかね、ホント、人気なかったです。
でも別にわたしは気になりませんでしたよ。
だってルークがルーカスのゴリ押しメンだってことはわかってましたからね。
あくまでも主役はルークです。

そんなわけで、スター・ウォーズの新作といっても、
エピソード的にはさかのぼってルークの両親の時代に戻る「ファントム・メナス」は、
そもそもの最初から、ちょっと不安ではあったのです。
だってわたしは裏切り者が大嫌いだから(・ω・)
物語的に、アナキンがなんと言おうと、
「コイツは裏切るし、ルークを苦しめる」
と、もうわかってるわけですね。
青年期のヘイデン・クリステンセンは色男でしたが、
どんなにフォースが強かろうと、
身勝手な理由で暗黒面に転ぶことは判っているので、
高潔なジェダイには見えないわけですよ。
ナニか危なっかしい目つきをしたゴロツキですわ。
漆黒の衣装に身を包もうとも、傷つき、苦しんだ分、
ジェダイとして成熟したルークとは似ても似つかないわけです。
ナタポーこと、ナタリー・ポートマンこと、プリンセス・アミダラも、
子供達が大きくなる前に死ぬのはわかってるし、
オビ・ワンが、つまるところジェダイが敗北し、
帝国=暗黒面=シスがこの世の春を謳歌することも丸わかりなわけです。
つまりエピソード1,2,3に関しては盛大なネタバレは終っていて、
なにがどう展開しようと、ラストは変わらないのです。
そういう意味では、この作品、
最初から映画として凄く重い足枷を引きずっていたんですよね。

でも、それでも、20年待っていたファンからしたら、
「きっと想像を超えた素晴らしい映画を作ってくれる!
だって【スター・ウォーズ】を創ってくれたルーカスなんだもんッ!」
と、訓練された犬らしく期待におののいていたわけですよ。

まさか子供のカーレースをえんえんと見せられるとは思わなんだ……。

カーレースというのは、そもそも退屈なもんだとわたしは思います。
好きな人にはマラソンだってエキサイトする見物ですよね。
でもわたしには良さがさっぱりわからないのです。
わたしが黙って早送りもせずにカーアクションを観られた映画は、
半世紀近いこれまでの人生でホントにごくわずかです。

このカーレースのシーンに限らず、
とにかく「ファントム・メナス」は最初から最後までつまらなかった。
前評判の悪かったジャージャーなんかどーでもいいくらい、
話そのもの、作りそのもの、映画全体が一本の作品として駄作だった。
ハッキリきっぱり、駄作だった。
(どこがどーダメだったのか、それはもう、ご自分で確かめていただけたらと思います…)

上がりきったハードルと、
下がりきったハードルの落差で、
どっかおかしくなりそうなくらい、
映画館を出た時は、それこそ泣きそうなくらいショックだったですよ。
あれほどはしゃいで一緒に入館した皆さんの顔つきも、
いっきに現実に目覚めたような、
ハローワークで紹介された仕事が遠洋漁業しかないッ
みたいな雰囲気でしたよ。
親友には頭を下げて謝りましたが、
そもそもスター・ウォーズに思い入れがなかった彼女は、
それほどショックを受けていなかったのが幸いでした。

……そう、「ファントム・メナス」シンドロームは、
スター・ウォーズに思い入れがあればあるほど深刻なものだったのです。

もうね、「ファントム・メナス」以降、
だからわたしはほとんどまったく、観ているはずなのに世界観も物語も
〝よくわかりません〟。
こんなのってある?(笑)
ファンなのに、好きな監督さんが作ってくれたのに、
そもそも話がつまんなくて覚えていられない映画って。
わたしが覚えているのは、
チャプターでスキップすると映される、
同じようなカットのFFみたいな風景だけですよ。
キレイだったけどね、それだけです。
あと会議(笑)
繰り返される会議(笑)
ジェダイの〝騎士〟なのに会議(笑)

そんな風なので、恐ろしくてもう、
「フォースの覚醒」は初日に行く勇気はないし、
とりあえず同じくらい、いや、わたし以上に思い入れの強い人がどう感じたか、
その結果を待ってから観るかどうかを決めよう、
としているわけです。
映画館の入りが全然悪いのを見ると、
(東京都心部は大入りで初日はプラチナチケット化だそうですが)
同じヤマイの人は多そうな気がします…。
ホント、「ファントム・メナス」って業が深い…。


……というわけで、
一夜明けて「たまふる」聴きました。
二時間スター・ウォーズ特集という、ものすごい豪華版(わたしには)。
昨日はもうとにかく、ネットに溢れるネタバレと批評の嵐から逃れるのに必死で(^_^;)
でも宇多丸さんの「安心」の一言を胸に、
明日の席を予約しました。
明日の今頃には「フォース・アウェイクン」後のイオカになっています(´Д`)


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寒くてだるくて「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」やら「ジョーカー・ゲーム」やら… [映画]

その前に……
ブログに予告までしたんだし、
もうちょっとクオリティを上げたい…
(誤字脱字を少なくしたい)
という浅ましさから、再び推敲に入ってしまったので、
たぶん二、三人だとは思いますが、
「蜂の巣嬢」upお待ちの方、もう少しお待ちくださいm(__)m
(来週にはきっと)

あともう一個……
〝ブログのリスト機能〟で悩んでいたんですが、
どうもExcelが必要な機能のようです。
…うちのPC、Excel入っていない _/>O


     
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」
観る前に思ってた予想と、
観てからの感じが齟齬のない作品でした。
つまり、相変わらず〝マーベルはぁはぁ〟層のための映画であり、
「マーベル? チョコ?」
という層には皆目わからんッという映画になっています。
でも前作の「アベンジャーズ」で、
マーベルチョコ層は振り切ったと思うので、
そういう意味ではおおむね〝素晴らしい〟という声の方が大きいですね。

「アイアンマン」は3まで観たし(3が一番面白かったです)、
「ハルク」はノートン版とか、その前のも観てるし、
「キャプテン・アメリカ」も「マイティ・ソー」も観たぞ、って、
予習はできてたと思っていたんですが、
〝シールド〟に関しては、どうもドラマ視聴も前提になっているのかもしれません。

わたしが思うに、いくらマーベルが頑張ってガンガンに宣伝入れてきても、
この複数作品視聴を前提とした方式を続ける限り、
やっぱり日本に関しては新規開拓は無理でしょうね~(^_^;)
わたしは〝マーベルはぁはぁ〟層ではないですが、
ワーキャー映画は大好物なので普通に視聴しますが。
それでもワンピースばりに大勢の無敵キャラが無敵登場してくると、
だんだんと〝世界の平和〟ってなんだっけ?
という、ひずみが生じてくるのはやむを得ません。

たとえばスパイダーマンだと、
戦ってるのは街のマッドサイエンスティストだったり、
銀行強盗だったりするし、青春のモヤモヤの方が重要なので、
悪漢退治の方はすぐに顛末がついてくれましたけど、
Xマンとか、「アレ? 最新作の最後の敵ってなんだっけ?」
と、あまりに似たような組織や悪の親玉が登場しすぎて、
観たけど覚えていなかったりします。
(もちろん〝マーベルはぁはぁ〟層の方々はちゃんと記憶しているでしょう)
ワンピースも、どこまで読んだか忘れましたけど、
途中から「アレ? いま誰が悪くて、誰が何をしようとしてたんだっけ?」
ってなってしまう。
これってわたしだけ?
わたしの加齢のせいですか?
そうですか _/>O

この「エイジ・オブ・ウルトロン」は、多くのはぁはぁしない層の人々が、
「なんじゃこりゃ、ヒーローの尻ぬぐいに付き合わされて死人出まくりやん」
と、低評価出しまくりです。
わたしもストーリー的には、
観念的なテーマを視覚的に表現しようとした結果、
ヒーローが無辜の民に犠牲を強いてしまった、
という〝だけ〟の作品だったなぁと思うので、
評価としては低くする他ありません。

しかし、キャラクターたちの行動規範は前作よりずっと判りやすく、
(これは間にシールドが入っていないおかげと、
敵が「アスガルド? ロキ? 誰? え?」ではなかったためだと思われます)
且つ、序盤からラストまで、ほとんどアクションだけで繋げ続けるという、
いさぎよさに関しては拍手を送りたいヾ(´∀`)ノ
少々早回しが過ぎたり、3Dを2Dにしている影響か、
動きに違和感が生じたりもありましたが、
それぞれの特色を生かしたアクションはちゃんと前作を越えていました。

うーん、惜しむらくはやっぱり、
二時間内では収められない壮大な物語を作ってしまっていることですね。
これはこの作品が141分、という長尺作品だからという意味ではなくて、
〝このエピソードが続いていく、ということを意味しています。

わたしは基本、最初から〝三部作〟とか、
〝前後編〟とか、観客サイドに
「すべてちゃんと観て理解してね」
と強要する作品は、まずマイナス評価から入ります。
マンガや小説とは違って、
「映画は〝三部作〟(それ以上も含む)が好きだ」
という人は、そうそういないと思います。
「マトリックス」みたいに、ぅおッ三部まであるん? ヤッター!
と迎えられる作品はそうないでしょう。
ハリポタ、ロード・オブ・ザ・リングあたりから、
近年では邦画でも、小刻みに大量生産するのが当然とばかり製作してますが、
これはもう、観客のふるい落とし作業にしかならない気がします。
現実にわたしなんかは、
「るろ剣」の続編の前編は行ったけど後編はWOWOW視聴で済ませましたし、
「寄生獣」も前編は行きましたが、後編は地上波あたりでやるのを待とうと思ってます。

だからって、この方式を製作サイドがやめられないのも、
それはそれで仕方ないんだろうなぁという想像もつきます。
最近だと〝特別上映作品〟と銘打たれた作品は、
たとえばレディースデイとかでもお安くならないそうな。
一律2000円だそうです。
「観る人が少ないなら、〝どうしても観たいッ〟って人から倍取ればいいじゃない?」
というマリーさん法ですよ。

〝マーベルはぁはぁ〟層は、たぶん、この続編もなんとしても人より先に観たがるでしょう。
で、わたしみたいなのは、安くなってからレンタルで、
とか、WOWOWで、とか、地上波で、とか……ね。

この作品はそういう意味では、
マーベルヒーローの基礎知識がなく、興味がない人には、
そもそも地上波でさえ見向きもされなさそうな作り方をしています。
たぶん〝マーベルはぁはぁ〟層の方々は、
「そんな奴ら、最初から観なくていいんじゃボケ」
と考えてらっしゃるでしょうが、
そして、これがもしたとえば、
〝指原はぁはぁ〟層と考えた場合、
わたしも同じように考えちゃうわけですが、
続編を作ったりする以上、そうはいかないと思うんですよね~(-_-;)

ものすごくお金をかけているし、
大量のキャラを登場させている割にお話も判りやすくしているし、
アベンジャーズ再集結のシーンをざっくりカットしているおかげで、
ものすごい時間の節約もされて観やすい良作になっているんだけど、
でも、それでも、
〝マーベルはぁはぁ〟層のための自慰作品でしかないなぁと…。
一般向けとしては、五点満点なら二点ってところでしょうか。
アクションが好きな方、ワーキャー映画ならなんでもいい、
という人にオススメです。



「ジョーカー・ゲーム」
2015年公開作品。
えっ? 今年の公開だっけ?
……お察しください……。

原作のファンなので、ダメだろうなぁ~
と思っていたらホントにダメだった(笑)
もう、ほとんど何一つ原作の良さは描けていません。

映画と原作は別物、と切り離して観ると、
実写版ルパン三世の作りに非常に近い。
派手な音楽と、ただひたすら追いかけっこするアクションシーン。
全編通してかなりの時間を追いかけっこに費やしています。
カーアクションとかではなくて、
「まて~ルパ~ン」
「ぜ~にがたのトッつぁ~ん」
的な追いかけっこです。
また、ふ~じこちゃぁ~ん的な女スパイも、
かなり判りやすく堂々と跳梁跋扈するので、
原作と同じテイストの、
『ラスト数ページまで誰が本物のD機関の人間かわからない』
という、最後の最後でニヤリとなっちゃう空気感は味わえません。

個人的には、特番で金田一少年役を一度だけ演じた時の亀梨和也君は、
舌打ちするクセがひどくて見ていられなかったのが、
きっちり治って、
少なくともアイドルの普通のお芝居はできていたのがよかったです。
でも外国人とか普通に出てる作品の中で、
薄い棒のようにヒョロ長の亀梨君がいると、
とうていオトナには見えないのは、どうだろうか…。
あとあの髪型も…。
いや、うん、言うまい。

この映画が好きで原作を読むと、
原作は地味でつまんないと感じちゃうかもしれません。
そういう意味で、映画は映画らしい けれんみ に溢れていました。
映画としてのデキは、「ルパン三世」よりは良かったと思いますが、
あえて誰かにオススメはしませんね…。
亀梨君や深キョンのファンはいいかもしれません。



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男の魂に火をつけろ! 音楽映画ベストテン の〆切を過ぎてしまった(T_T) [映画]

わたしのベストテン

1.ブルース・ブラザース(1980年、ジョン・ランディス監督)
2.ストリート・オブ・ファイヤー(1984年、ウォルター・ヒル監督)
3.サウンド・オブ・ミュージック(1965年、ロバート・ワイズ監督)
4.フット・ルース(1984年、ハーバート・ロス監督)
5.ゴースト・バスターズ(1984年、アイヴァン・ライトマン監督)
6.DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る(2012年、高橋栄樹監督)
7.スター・ウォーズ(1977年、ジョージ・ルーカス監督)
8.プリティ・ウーマン(1990年、ゲイリー・マーシャル監督)
9.劇場版マクロスF虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~(2009年、河森正治監督)
10.THE IDOLM@STER MOVIE輝きの向こう側へ!(2014年、錦織敦史監督)


ブログのリスト機能っていうのが、
どうにも判らず、モタモタしているうちに〆切すぎちゃいました。
アニメ映画の時のワッシュさんの苦労を思うと、
なんとか集計しやすいようにと考えたんですが、
カテゴリ機能と同じ意味かな? という結論で、
これはもう、とりあえず自己満足のためだけの順位です。
特に後半半分は強引に搾り出した感ありますし(^_^;)

以下、わたしの感想を含めた、下書きで書いたもろもろは、
暇な方だけ続けてご覧ください。

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