やっぱりエログロは園子温に限る(目黒のサンマ調で)『冷たい熱帯魚』 [映画]

     
『冷たい熱帯魚』
2011年公開 園子温作品。

『凶悪』も普通に観られたことだし、
「いつか観なきゃ…」と、心に決めていた作品。
もう五年もたってるんですね~

いいとか悪いとか、好きとか嫌いとか、そういう話はとりあえず置いておき、
何度も何度も笑顔で胸元をどつかれるような、
そういう、言うなれば「胸くその悪い」映画です。

『凶悪』で感じた予定調和感はいっさいなく、
(なぜ比較に出すかというと、無関係の作品なのによく比較されるので)
最初から最後までスピーディーで隙間なく、
村田夫妻の解体作業同様、
職人気質な監督にストンストンと物語に運ばれていく感じ。

ニコニコ笑っていた人が突然牙を剥く感じは、
リリーさん、ピエールさんを合わせても、
でんでんさんの圧勝でしたね~(-_-;)
少し舌足らずで噛みまくる台詞回しも、
村田という人間の愛嬌を表現するのに一役買ってましたし、
血だらけの風呂場で妻と下着姿で解体しながら、
「できないだろ? お前はいいよ」
なんてちょっと苦笑されて優しい言葉をかけられると、
すぐそこで人間を解体しているってのに、
「もしかしていい人?」(社本胸きゅん)
とか思ってしまう。

ただ、園さんは園さんでしたね~(^_^;)
全般的に漂う親子幻想と、それを打ち砕く現実の凄まじさ。
どんなセリフも悲しいほど空虚で、
村田→社本(疑似父子)も響きゃしないし、
社本→美津子も響きゃしない。

二度とは観る気はしませんが、
グロ耐性のある人には、なんかいろいろ打ち砕かれるためにもオススメです。
ほら、世の中って、ふわふわさらさらしたものばかりじゃなくて、
隣でニコニコしてる人が、実は…
ってことを想像するのは大事だと思うんですよ~。
いつまでも親の観せてくれる極甘ディズ○ー作品ばっかじゃなくて、
たまにこういう毒を口に入れると、
いざというときの耐性ができるのでオススメです。

逆に、耐性をつける、という以外では、それほど実りのある映画ではなく、
こういうの好きな人向けのエンターテイメントに徹しているように思えました。
『恋の罪』とか『愛のむきだし』に比べたら、
アイタタ度は少ないです。
ただ物理的にはエグイので気をつけてください。


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