観たことを忘れていた「47RONIN」 [映画]

     
「47RONIN」
2013年公開作品。
意外と最近ですね(^_^;)
結構前に観て、感想を書いたつもりになっていたのですが、
書いてなかったようなので…。

ほら、わたしの嫌いなK谷監督も「忠臣蔵」を題材にした作品でズタボロになってらっしゃいますし、
この作品のこと思い出したのですよ。
(というか、キャシャーンに思い入れがあるわけでもなく、
どうでもいい部類の人だったのに、
しくじり先生を見て大嫌いになった人もめずらしい気がします)

おっと、パチンコ屋の音が聞こえてきたので話を元に戻すぜ。

意外と最近の映画ですが、
この作品が好きだとか、思い入れがあるとか、聞いたこともないので、
さらっとネタバレ有りで書いていきましょうね。
(基本はわたしのボケ防止ブログになりつつありますし)

「忠臣蔵」の物語は、相当に若い方や、
まったく時代劇に触れてこなかった、という人でも無い限り、
知らない、という人の方が珍しいかとは思います。
でも、わたしが大人になる頃までは、
毎年年末が近づくと当たり前に、
手を変え品を変え製作していたので耳に入ってきた物語だけど、
最近の認知度はどうなんだろう? という疑問はあります。

えー、あらかじめ言っておきますと、
わたしは忠臣蔵のスタンダードな展開が大好きです。
物心ついたころから「あーまたやってる」と思うだけあって、
とにかく大河でもやってましたし、何回かは通しで見てます。
ただ、どれがどれやらはもはや判らない(^_^;)
言えるのは、忠臣蔵という物語のスタンダードは、
義理や人情が大好きな日本人にマッチした展開になるよう、
同じ展開でもグッと泣けるように作られてきたということです。

大まかな「忠臣蔵」の展開。

・赤穂藩の藩主、浅野内匠頭は、なにかというと老中、吉良上野介に虐められる。
 (なんか塩の件でスゲーからまれてたんだよね~確か)
・ある日とうとうキレた内匠頭は、抜刀御法度の松の廊下で吉良に斬りかかってしまう。
・内匠頭には切腹が言い渡される。
・内匠頭には若い妻と幼い子もいたし、
 吉良の度重なるイジメはみんなも知っていたのに、幕府が配慮することはなかった。
・国家老、大石内蔵助は主君の後を追って切腹しようとするが、
 他の藩士や内匠頭の妻子も後追いに走ろうとするのを止めるため、
 いずれ時が来たら吉良上野介を討つと誓い、赤穂藩の取り潰しを受け入れる。

ここまでが前段ですね。
もうこの段階で、おおよそのキャラ紹介がされるわけで、
理由はどうあれ吉良憎しで食いつかせる展開とか。
のちのフラグとして、
大石内蔵助の優しくて誠実な性格とかも、ここで植え付けてくるわけです。
(2003年の中村吉右衛門主演の大石内蔵助が記憶に新しいです)
全員が、主君といっしょに〝死にたがっていた〟という点も大きいです。
これは、時代的に徳川一択支配の円熟期の物語なので、
戦で死ねない侍は、おおむね〝誇り高き死に場所〟を探している状況だったと思われます。

そのあと、中段ではとにかくなんやかんやあります。
「天河屋の義平は男でござるぞ、子にほだされ存ぜぬ事を存じたとは申さぬ」
など、有名なセリフや、人間関係、
吉良側を油断させるために
大石内蔵助が討ち入り当日まで演じて見せたスチャラカ男ぶりとか…。
マジメ→スチャラカ この流れがあるので、
最後の最後の討ち入りで雪の中先頭に立ち、
大ラスは内匠頭の墓前に吉良の首級を祀る姿に涙ドバーなわけですわ。

特にわたしが好きなのは、大石が内匠頭の奥さんのとこにご挨拶に行くんですよ、
奥さんはもう、討ち入りはいつか、しか頭にないわけです。
何年もたってしまって、藩士たちもそれぞれの生活を送ってて、
大石なんてスチャラカしちゃってる噂も耳に入っているわけです。
でも奥さんは自害を制止されたときから、
大石が必ず敵をとってくれると信じているわけだから、
夫の位牌の前で討ち入りしないなんて言えるのかと責め立てるわけです。
でも大石は、ここで討ち入りのこと言っちゃうと、
奥さんたちも知っていたことになって共犯になってしまうから、
「しませんよ、すみません」って頭を下げる。
その伏せた大石の表情と、裏切られたと思い込んだ奥さんの絶望ね(T_T)

こうしていよいよ後段、
「討ち入り」へと話は進み、
吉良は徹底的に卑怯な悪人として描かれ、
(ドラマによっては美化もされますが、
そういうのは物語としては面白くないです。
「忠臣蔵」は史実としてより、仇討ち物語として楽しむのが正解だと思います)
47人の赤穂浪士は討ち入りを果たすのです。

この後、彼らは内匠頭の墓前では自害せず、
正当な裁きをしてくれなかった幕府に出頭し、
結局は切腹になるんだけれど、
結果的に幕府という強大な、だけど腐れた支配階級を暗に責める、
という社会派的な最終段階もあります。
(内匠頭の墓前で切腹、という展開のドラマもあったと思います)

はふぅ~
ここまで、別に「47RONIN」のあらすじではないので(^_^;)

「忠臣蔵」の大まかな流れを知っていれば、
耐えがたきを耐え、忍びかたきを忍ぶ、大石の物語がキモだとわかっていただけるかと。
物語の脇には若いカップルの悲恋とかもありますけど、
それは心を打つ、というよりは、
あーもー主君より恋愛って、バカだなー、
とか思わせてしまう(・ω・)

さて、「47RONIN」の話をしなくちゃ。
全体的に間違っているYO!

いや、ベースが「忠臣蔵」なだけだから、
っていうのは、それはそれでいいと思うんですよ。
問題は、大石の役回りをしている真田広之にちっとも心を打たれない点であります。
〝よそ者〟という役割のキアヌと大石要素を二分したにしても、
キアヌもどういう性格で何を考えているのか、幼児向けなくらい淡泊に描かれすぎて不明瞭です。
日本的美学からは完全に逸脱した柴咲コウさんのど派手衣装も、
薄幸の姫君、というにはあまりに……あまりな……
キアヌとの恋も、あまり命懸けの恋愛、という熱量は感じられません。
というか、相変わらず、柴咲コウさんは何を演じてらっしゃっても柴咲コウさんでしかありません。

とりあえず「忠臣蔵」をなぞっていたのは、
・主君が無残に死んでしまう。
・配下はみんな浪人になってしまう。
・なにがなんでも吉良を討とう。
って点だけでしたね。
あとは見事に、まったく、なぞりません。
大石の侠気なんてないし、
ほかのキャラも武士とは思えないネチッこさで、
異人のキアヌをチクチクいじめます。
良いやつなんていやしないし、真田広之も慕わしさを見せてくれません。
全員、子供ん時からいっしょに育ってんだからいい加減慣れろや。
いや、虐めるなら虐めるでもいいけど、
でも討ち入りはいろいろ便利だからいっしょに行こう、って、
それはどうだろうか?

物語に関してはヒドかったですが、
〝日本的ではないのだ〟と脳をゆんゆんさせれば、
〝変化球ファンタジー〟として受け入れられなくもありません。
わたしは苦手ですが、柴咲コウさんも、美人だと思えなくもありません。
赤西なんとか君も出てたと、さっきwikiで知りましたが、
なるほど、思えば中学生のようで可愛くなかったということもありません。

実は半分くらい観て、疲弊して、
またちょっと観て、と、映画の鑑賞としては最低の方法をとっていたので、
そういう意味では申し訳なくもあります。

うん、まぁ、
「忠臣蔵」を抜きにして、面白いか面白くないかだけで言うなら、
面白くなかったです。
「忠臣蔵」じゃねーし。全然。

日本人俳優さんがたくさん海外でも認知してもらえるチャンスなのに、
実にもったいないことです。
(別に海外進出なんてしなくてもいいとは思いますけど)
予告編では割と期待していましたし、
ロケ地での微笑ましいエピソードなども聞いていただけに、
映画って本当に難しいなぁと改めて思ったしだいです。

さすがにオススメはしません。


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