「009 RE:CYBORG」「脳男」 [映画]


     

「009 RE:CYBORG」
WOWOWにて視聴。
まったく期待していなかったせいか、すごく面白かったです。
ただプラスとマイナスで平均的なアニメ映画になってる感は拭えないかなぁ。

Wikiで確認したところ、どうやら最初は押井守監督が作る予定だったんですね~
でもその原案があまりにぶっとんでいて、
(58歳の003が犬になった001と世界を旅する)
押井監督好きな私でも、それは無理だわ、と思わず苦笑。

その影響もあってか、天使のモチーフや神の概念など、
押井さんテイストと思われる細部も残っていましたし、
音楽が川井憲次さんなのも、すごく押井作品色がありました。
でも、この、ややこしい元ネタ、
「神とは人間の脳内に存在する絶対的な意思であり、
その意思は現実をも改変させる」
をテーマにした難解なストーリーは、
そもそも石ノ森章太郎先生の多元宇宙構想の内にあったようですね~
石ノ森先生と言えば、「幻魔大戦」のマンガ化もされた方、
つらつらとそこらへんのネタが思い浮かびました。

わたし的にはキライじゃないテーマだったんですが、
009と聞いてイメージする通常の勧善懲悪イメージとは、
かなり距離感があったストーリーでしたね。
もっと普通で良かった気がします。
そもそもの最初から、003と009と002のグチャグチャ、
みたいなのの方が、下世話ではあるけど取っつきやすかったんじゃないかなぁ。
丁寧に作られていたし、スポンサーもついていたのに、
九割がた続きがなさそうなので、残念です。

昨日の「ジャイアントロボ」では讃えたキャラ絵も、
今作に関しては、わたし的にはマイナスかなぁ。
悪い絵じゃないと思いましたが、奇妙に古臭かったです。
中途ハンパに石ノ森テイストを出そうとして失敗してる感じ。
「キルラキル」とか流行ったし、
石ノ森テイストをちょっとイマ風にするだけで良かったのになぁ。
すごくもったいなかった。
009超絶カッコ良かったし、003もエロ可愛かったし、
002のデザインも悪くなかったと思います。
でも「サイボーグ009」と聞いて思い浮かべる世界観ではなかった。
あれならむしろ、もっと石ノ森テイストから離れちゃった方が良かったかも。

マイナス点は大きいんですが、
それでもわたしにとって、主人公が主人公らしくカッコ良く、
一人だけ特殊で特別で特異、というのは大きなプラス点でした。
声もすごく合っていたし、可愛くてカッコ良かった。
ジョーのシーンだけ何度も見直しちゃいましたよ(笑)
黒ツメエリで、「加速装置」を使うなんて…("▽"*)
年上パリジェンヌの超美女、003にメロメロ惚れられているのもステキ。

加速装置の表現はきっちりカッコ良かったです。
使いこなしているジョーもクールでカッコ良かったぁ("▽"*)
004も良かったなぁ。
やっぱりこの、00シリーズのサイボーグのバトルを
メインに持ってきて欲しかった。
神と戦う、ではなく、悪徳企業を滅する、で良かった気がします。
もちろんそれはそれで陳腐ではあるんだけど、
続きものを作りたかった一作目としては、
あまりに観る方のニーズを無視して冒険しすぎかと…。
(押井さんのと比べると普通なんだけど(笑))

あまりあら探しをせず、009カッコイーとか、
003エロカワイイーとか思いながら観るのが正解かも。
良くできたアニメだと思いました。
できたら続きが観たいなぁ…。


     

「脳男」
WOWOWで視聴。
原作小説は未読です。

前宣伝で割と期待していた部分と、
公開後の批評が半々に割れてるのを見て慎重になった部分と、
いい感じの距離で観られたと思います。

犯人像など、相当の原作改変があるそうです。
ただ、原作の犯人も割と不人気らしいので、
どっちもどっちだったみたい(-。-;)
この犯人像を巡っては、どうも経験値に判断の差があるような気がしました。
あまりたくさん映画を観ない人の批評では評価が高く、
たくさん観る人の批評では低い。
わたしはワーキャー映画に関しては年に200本以上は観てるので、
素人では割と観てる方だと思いますが、
やはりこの犯人像、お腹いっぱい(-。-;)と思いました。
何度も何度も、すでに何度も何度も、
邦画の感想をあげるたびに書いてきたんですが、
イッちゃってる天才キャハハ系の犯人はもう、ウンザリです。
いや、あえてその方向に行ったなら、
演出側はその役作りを手助けしてあげるべきだし、
演者はもう少し同じ系統の役者さんの演技を参考にすべき。
好批評では二階堂ふみちゃんのお芝居が大絶賛されておりましたが、
わたしにはイマイチ。
ゴメンナサイ_/>O
五キロも痩せたそうですが、
痩せたオンナノコでは普通にイマドキの子なので、
河北麻由子の太腿を見たときの衝撃に比べたら、ごく普通でした。
眉も剃ったそうですが、前髪が常に額を覆っているので、
眉のあるなしなんて判らなかったよ。
末期ガン、という設定なんですが、
ビョーキを舐めすぎです。

対する脳男さんですが、
これは逆に、ものすごいキャラを乗っけてもらいまくり(笑)
●天才(サヴァン症候群と思われる)●無痛症●感情ゼロ
●美形●人殺し●悪人を殺すよう育てられた●大金持ちの孫●両親を犯罪で亡くす
●シツケられなくては食事も排泄も不可能だった
乗せすぎだろう(笑)
犯人のプロフィールがほとんど真っ白なのと比べ、
映画の大半が脳男さんの半生を紹介するのに費やされます。
生田君は頑張ってお芝居したの判りますが、
あれ以外に演技プランとか出せそうもないくらい、
ガッチガチにキャラを決められています。

そりゃあ、脳男さんの半生の方がドラマチックなので、
現行の爆弾事件がおざなりになったのも判ります。
更に、爆弾事件がどうも薄くなったので、
原作にない猟奇殺人のエピソードを加えたくなったのも判ります。
後手後手にまわっているので、全体的にうっすらなのです。

せめて爆弾犯を大人のオンナ設定にすれば、
もっとえげつない過去設定や(ここには書けないようなゲスい設定)
メチャクチャな人格破綻をさせられただろうに…。

翌日に「殺人の告白」を観たわけですが、
好みもあるでしょうが、正直まったく競ってもいない。
いろんな規制があるのは判りますが、
その中でもかなり「脳男」はメチャクチャやってる。
あれだけメチャクチャがやれるのに、作品として全体を観ると薄いという…。

これはわたしの印象ですが、
作った人は犯罪を映画内で描くことをはぶき、
現実を想起させる猟奇事件を提示していると思いました。
あの事件、覚えていますか?
ひどい事件だったのに、犯人は未成年、精神耗弱ということで裁かれませんでしたよね?
ひどい話でしたよねー、許せませんよねー、憎いでしょう?
でも司法では裁けなくても、脳男がやってくれますよ。
ほら、やりましたよーって。
でも、そんなに簡単かな? 単純かな?
正しかったかどうかはともかく、
「殺人の告白」のチェ班長の決断は、多くの山を乗り越えた果てにありました。
脳男にはソレはないわけです。
だって感情ないし、痛みも判らないから。

テーマに関してはそれほど語ることはないです。
でも映画としては、つまらない映画でした。
生田斗真君がスキ、二階堂ふみちゃんがスキ、
あまりたくさん映画を観てない、という方にだけオススメです。


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