冷静と情熱の間で『チャイルド44~森に消えた子供たち』 [映画]

冷静と情熱の間にあったのは私です。

あの~『ハンニバル』にハマッて、
というか、pixivですごく好きな小説作家さんがいて、
まぁ、説明は難しいんで、はぶきますが_/>O
要するに好きなあまり、やっぱり同人誌出されてらっしゃるとなれば、
そりゃあ欲しいじゃないですかぁ(T-T)
もう私なんて、棺桶に片足突っ込んでる身ですし、
イベントには行けないんですけど、
この方の御本だけは伏しておねだりしたい、
twitterなんて2009年によくわからない理由で登録して以来、
ほとんど機能させていなかったから、
使い方がまったく判らないのに、
鍵付きのアカウントにフォロー申請をしたり、
間違えたり、そりゃあもういい年して大騒ぎさ_/>O
というくらいには好きな作家さんなんですね。
これ、情熱。

でもほら~
『好きです』
と告白はしたものの、振り向いて欲しいとか、わたしを見て、
とか、それはほら、おいおいというか、
そこらへんって、なんか甘酸っぱい微妙さあるじゃないですか~。
ここらへん、冷静。

そんな感じで熱く応援しすぎて〝空気読まない奴〟にだけはなるまいと、
年相応におっとり応援しようと、
冷静と情熱の間に身を置いていたわけですよ。

あ、なんか長くなっちゃった……

映画の感想やっときます。

     
『チャイルド44~森に消えた子供たち』
2015年公開作品。
原作未読。
ものすごく硬派な猟奇ミステリーというイメージ。

難しい。
一言で言ってしまうとコレに尽きる。
1953年のソビエトの様子なんて、想像するだに身が縮みます。
わたしは1967年生まれですから、
ロシアとソビエトっていうなら、やっぱりソビエトの強さとか、
秘密めいた国の怖さとか、末期の混迷とか、一応意識にはあります。
小学生の時、友人の父親が自衛隊員で、ソ連に引っ越して…
当時としては希少な体験を聞いたりもしたものです。

とにかく映画では、ひたすら足を引っ張り合う共産国のダークサイドが描かれており、
画面も寒々しく、街は薄暗く、歩む人たちは小汚く背を丸め…。
ちょっともう、そんな前からここまでホントにひどかったんかい?
と、ツッコミ入れたくなる暗澹たる国家体質。
その最たる悪習が、「楽園に殺人はない」という断定。
これのせいで殺人鬼のさばり放題ですわな。

主人公はひたすら にぶい!
国家の英雄なんだけど にぶい!
実直なのはわかるけど、にぶい!
主人公がまったく策を弄することの出来ないタイプなので、
猪突猛進、壁は壊して進むのです。
それにしても、ここまで素直で悪気のない旦那さんに、
隠し事の多すぎる奥さんは奥さんで にぶい!
物語はこの にぶい夫婦の紆余曲折と、
話が半分くらい進むまで誰が誰だか区別のつきにくい男らの
陰湿な足の引っ張り合いと、
動機とか理由とかわけわかんない変質者の動向と、
この三つを軸に、わずか137分で解決しようとするのだから、
難しいはずだよッ!

そしてどうも最近見なかったら、
こんなところでエライ人の役をやってたヴァンサン・カッセルさんとか、
(お願いですから、皆様、『ジェヴォーダンの獣』観てください_/>O)
ふんわり登場して、ふんわり優しくしてくれて、
ふんわり退場なさったゲイリー・オールドマンとか(´д`)
ゲイリーさんは 昔なら出てきたらどんな悪役かと思うとこなんですが、
バット・マンの署長役以来、悪いことしなくなりましたね(´д`)
そんな風に、結構良い感じの役者さんが出てるのに、
なんだか映画じたいはパッとしませんでしたね(-_-;)
わたしはスラッと上背に軍服ぴったりのジョエル・キナマンさん好きでした。
主役はマッド・マックスのマックスや、ダークナイトライジングのベインや、
つまり振り幅の広い役者さんのトム・ハーディーさんで、
マックスとかベインよりはきっちりと演技されていて、好感度高しでした。

これはいつものアレですが、
猟奇殺人ものとして観ると物足りず、
ソ連の暴露話としては説明不足のうえ、
男たちや女、子供の思想を揺さぶるドラマとしては成り立っていない、
という……
どこもかしこも足らない感じの迷作になってしまった感があります。
原作が分厚い文庫二冊分と考えるとさもありなんで。
ちょっと勿体ない(>_<)
思い切って共産の背景をぶった切るくらいの英断が必要だったのかなぁ。
キャラも親友とワシーリー君を消しちゃうくらいの。
そうするとそっち方面は描かなくて済むので、
殺人事件と夫婦の葛藤に重点おけたよね、という(-_-;)
だって一応、これって〝消えた子供たちの謎〟を追う話なんですよね……

そんなわけで、
あれこれと物足りない箇所はある、と承知したうえで、
重厚な空気感とか、ピリッとした人間関係など、
エンターテイメントを期待せずに観るならばオススメです。

……そういや、泥の中で戦ってる時、
『エネミー・ライン』思い出したな~
もう十五年も前の作品なのか!
これもボスニアやセルビア、謂わばソ連崩壊後にまつわる悲劇が背景にありましたね~


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