ある意味型どおりだった『凶悪』を観ました。 [映画]

     
『凶悪』
2015年公開作品。

ウンザリする感じの映画なんだろうなぁ、
と思っていたら、やっぱりそんな感じの映画でした。

あらすじとかは特にいらないですね。
実際にあった事件を元にしているからなのか、
単純に電器屋のじーさんを殺すシーンを長尺で描きたかったのか、
そこらへんの理由は不明です。

特に可も無く不可も無く。
グロいシーンはお化け屋敷程度、
エロいシーンは、
〝第三者(子供だったり)がいる場所で〟
という背徳感がなければ、ただ揺れてるだけです。
(オッパイはチョイあり)

山田孝之分する記者の家庭に、
かなりの長尺を持って行かれています。
128分という、相変わらず二時間越えの中に、
実母と嫁に仕事の邪魔をされるシーンが加わっています。
個人的には、介護問題、嫁問題、仕事問題、
全部を描こうとするのはやめて欲しかった。

特に、原作にある問題提起なのか、
記者がマスコミに属する自身の業に苦悩するのも、
この物語の中では余計かなぁと思いました。
いや、もちろん、それをテーマにしたかったなら、
むしろそちらをもっと重点的に描くべきで、
でも、今作では同じシーンを見せられるだけなんですよ(´д`)
〝…帰宅したら実母がボケてて嫁激おこ、 記者と話し合おうとするが、仕事を理由に回避される…〟
という 面白くもなんともない、
老人を抱える家庭の日常あるあるシーンが、二回も挿入されるんです。
離婚届け出されるシーンとかね。
じーさんが無理矢理酒を飲まされて死ぬ背景で、
こういう記者の日常、必要かなぁ?
描く側としては、マスコミの功罪も知って欲しかったのかもしれないけど、
おかげでつまんない邦画らしく、
素人が観てもカットできそうなシーンがポツポツと(-_-;)
……同じように、
電器屋さん家族を木村ことリリーさんが暗に脅すシーンも、
電話と面談と店への訪問という形で三回もあるんですよ_/>O

過去話を主にするのか、
現在進行形の木村の犯行を主とするのか、
そこも焦点を定めて欲しかったなぁ。

殺害される人間のほとんどが悪人(チンピラ・ヤクザ)で、
庶民が殺されるシーンはほぼないので、
頭の悪いチンピラの暴走とか、
無慈悲なヤクザ同士の凶悪殺人、としてしか感じられなかったのが、
ちょっと残念でした。
木村の娘がチラ見えしたりするので、
どうせなら記者の家庭より木村の家庭が見たかったです。

木村役のリリーさんと、須藤役のピエールさんは、
『黒い家』(原作の、もしくは韓国版の)の菰田を彷彿とさせて、
人間というより、利益を優先する昆虫に近い生物っぽいところが怪演でした。
ただそれも、予定調和の範囲内に収まってしまっていたのは、
やっぱりいまひとつ、作品の残虐性が吹っ切れていなかったせいかと思います。
日本では規制もありますし、
どうしてもお化け屋敷調になってしまうのは、
もう仕方の無いことかもしれませんねぇ。

あらすじを観て、多少のグロなら平気だと思えたなら、
邦画としてはオススメの部類です。
(損壊描写、損壊音、レ○プなどあります。
『乾き。』ほど痛々しくはありません)
ただし、タイトルのインパクトが沸点で、あとはあくまで平均的な作品なので、
エンターテインメントというよりは、
再現フィルム系として観るのがオススメです。


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