意外と怖い「ポゼッション」と、桜庭ななみのフツー感がたまらない「人狼ゲーム」 [映画]

     

「ポゼッション」
意外と怖い、とつけましたけど、
怖いのか! と期待するとさほどは怖くないのです。

そもそも録画予約していたことを忘れ、
なんの映画でしたか? と自問自答しつつ観始めたので、
不穏な始まり方でやっと、「あ、ホラーだっけか」と気づくという。
仕事で煮えながらの予約だったので、記憶がぼんやりしていたようです。
(シャレード文庫より初、「恋に啼く彩り」、十月に出ると思います)

実在の出来事を元にしたそうですが、
それほどノンフィクション感はないです。
むしろホラー部分は、「そりゃ、ないだろ、アハハハハ」って感じ。
離婚、やもめ、元妻の新しい恋人が歯科医、
苛立った娘が過食に走り夜中に泣いて皿を割りまくる、
このへんが実際のことっぽいです。
いや、知らんですけれども。

しかし物語は、地味に嫌なことばかりで、
主人公のくたびれたおじさんが気の毒でならなくなります。
私は正直、
「また離婚夫婦かよッ、また週末に子供を預かって元妻は新しい恋人とデートかよッ」
と、お腹いっぱいの設定に辟易しましたが、
途中から主役のおじさんに感情移入して、
なんとしても悪魔が実在してくんないと、おじさんが可哀想だ、
という、わけわかんない心境になりました。

なぜ? とか、どうして? とか、
現代ミステリーとかではないので、疑問の答えを求める物語にはなっていません。
当たり前だけど、犯人がいて動機があって、というのでもない。
およそ90分で、決して理解できない難解な宗教観は押しつけてきません。
また、プロデューサーがサム・ライミとのことですが、
グロ映像などはほとんどありませんし、
ドッキリポイントもほとんどないです。
あまり派手な脚色もされていないので、
そこらへんはドキュメンタリー的です。
映画好きならば、充分鑑賞に値するかと思われます。

元妻役が、わたしの好きなドラマ「クローザー」のヒロイン、
キーラ・セジウィックだったのですが、声優さんがドラマ版と違っていたのが残念(ノд`)
あ、でも、普通に映画版もステキです。
(ドラマ「コールド・ケース」のヒロインの声の人だと思います)

ホラーが平気で、理屈を求めない人にはオススメです。


     

「人狼ゲーム」
桜庭ななみちゃん主演。
しかしまあ、ドラマ「リミット」の時と同様、
心の中にモヤモヤを抱えた〝フツーの〟女子高生役がハマるハマる。
この人に任せておきゃ、フツーの世界観を作るのは簡単、
というくらい、彼女がいるだけでリアル感が増します。
彼女が平常心を失い、まともじゃなくなっていけばいくほど、
壊れた世界が表現されますからね。
(ドラマ「リミット」はなかなか面白かったですよ)

ただ、それだけなのが残念(*´ -`)

物語は最近ありがちのお金のかからない邦画の典型で、
とりあえず全滅(しないけど、するようなもの)させとけば観客の心を傷つけられるんじゃない?
みたいな演出が腹立たしいです。

もうやめてくんないかなぁ……裏切ったり、裏切ったり、裏切るの連鎖。
正直、裏切る、って行為そのものが、
邦画ではあまりにも普通に飛び出してくるので、
まったく――強がりではなく、ホントにまったくびっくりしなくなっちゃまいしたよ。
これは映画に限らないですけどね。
ドラマでも、アニメでも、全般に言えることで、
〝この人は絶対に大丈夫〟って人こそ最後に裏切るのが、
定番になっていて、びっくりしなくなっちゃいました。
(最近ですと、「家族狩り」の犯人とかね(ノд`)
ドラマは面白かったけど、事件自体は奇をてらいすぎてたなぁ)
視聴者を傷つけることで小躍りするスタッフ像が見えるようです。
そういう演出がウンザリなので、
悲しいことに、わたし的には逆にもうなんにも期待しなくなっちゃいましたね。
アニメとかも、某氏の名前がスタッフにあると、
「あ、全員死ぬパターンあるかも」と警戒するようになりましたし。
最初から予想して、ホントに死んだりするので、
なんかそれって、まだ斬新な演出って言うんですかねぇ…(*´ -`)

おっと、この映画の話をしなくては。

そんなわけで、全編、最初から最後まで気分の悪い映画です。
邦画なので取っつき安さはありますが、
相変わらず役者がボソボソ喋ると「えっ? なんて?」
と、戻して聞き直す箇所があったりします。
洋画と違って字幕もないし、声優さんのように滑舌がいいわけでもないので、
このあたり、責めることではないです。
音響でクリアにできなかったのかな? という程度。
ですがまあ、話の中身が俗的で、
リアリティもないし、思想的でもないので、
いちいちセリフを拾う必要はないかもしれません。
どうせ殺すと決めているせいか、あまり個々のキャラクターも描写されません。
二言、三言であらわせられるような端的なキャラとしか設定されてなさそうです。
メガネ、黒シャツ、エセインテリ、みたいな。

この世界観こそまさに、
誰が、なんの目的で、どうやって、の答えを必要とするものなんですが、
いっさい描かれずに終わります。
また、謎を解明しようとしない登場人物たちの淡々とした生活ぶりには、
リアリティのカケラもありません。
彼らはひたすら、「誰が人狼か?」と奔走するだけで、
夜になったらおとなしく会議のために集まります。
「人狼って言われて殺されちゃうかもしれない」
という不安から、逃げて隠れる、とかそんな真似もしません。
正々堂々としたものです。
この登場人物たちは、自分たちが監禁され、なんだか判らない
〝ちょー良くできた首筋斬りマシン〟を首に内臓されたまま、
ゲームのルール通りに毎晩一人血祭りにあげるのです。
で、その血祭りにあげられちゃう人は、
昼間は淡々としているのに、夜になってゲームで殺されるとなると、
死にたくなーーーい、と泣き喚くのです。
Σ(;´□)
どうしよう、面白い点がないよ。

「デス・ノート」や「バトル・ロワイヤル」「ライアー・ゲーム」などから派生した、
殺し合い、騙し合い、図太く生きることこそカッコイイ、という、
わたしのような古い犬には受け入れがたい風潮の殺伐としたドラマが好き、
という人にオススメかな…。


トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。