ワールド・ウォーZ [映画]

     

「ワールド・ウォーZ」

ブラッド・ピットさん主演ですし、宣伝も凄かったので、
割と知られた映画だと思うんですが…。

以下、ネタバレ等の問題を含む感想、たたみます。


まずは最初に普通に観た時の感想。

面白かったですよ!
最後まで観ると、冒頭の都会でのパニックの始まりが
もっとも盛り上がっていたのが判りますが、
それでもパニック映画らしくジェットコースター・ムービーになってて、
一つの山が終わると、すぐ次、すぐ次、
と、ネタがやって来るので飽きさせません。

個人的には走るゾンビは怖くないです。
テーマが感染、ゾンビ、というだけで、
内容的には想像の域を出ないスタンダードな出来でした。

ブラピの髪型とヒゲは、私好みではなかったのですが、
いまどきで言うたら、オシャレさんですか?

なかなかステキな博士が登場するのですが、
なんにもしない内に死にます_/>O

アメリカ映画にしてはめずらしく、軍人を悪く描いています。
(食事シーンで、一般人のせいで食糧不足、と軍人がイヤミを言います)

また、ブラピがケータイを持っているんですが、
普通に家族と直通です。
どう考えても報告は上司にしようよ。
そんな甘チャンなので、
寂しくなった奥さんがなんの気なしにかけた電話のせいで、
絶大な被害になったりします。
(この映画のゾンビは音に寄ってくるのです)

イスラエルのエピソードはたいへん好みでした。
これでもか、というほどたくさんのゾンビがいることが判ります。
CMでも流された、壁を越えてくるアレですね。

国防軍のセガンという少女(たぶん)兵士が可愛かったです。
片手にしたのはジェリー(ブラピ)なんだから、
愛人にして生涯囲ってあげて欲しいです。
少なくともあの奥さんよりは、激動の時代の役に立ちます。

原作では大勢の視点からの物語だそうですが、
確かにこの映画ではすべてブラピが解決するので、
相当に無理が生じています。
感染しないのはもちろんですが、
パニックの中心地点にいても、事故死などしません。
また、ほかの皆さんがまんべんなく優しいので、
ムチャクチャな要求にこたえてブラピを助けてくれます。
ヒーロー補正です。

ところどころで音楽が合ってないように感じました。
たぶん製作サイドが〝感動もの〟にしたかったせいだと思われます。

大ネタですが、
死病にかかっている人間はゾンビから噛むのを避けられる、
という人類救済措置です。
でもゾンビ側に「死にたくない」という意識があるのなら、
時間と共に死ぬんじゃなかろうか?
休眠に入る、というご都合ラストで続編に続けるそうですが、
どう考えても人間は死んだら腐るだろうし、
おかしな話やで~(エセ臭)。

基本的に、後半にいくほどネタがもったりと、
たるくなっていきます。
なにしろ冒頭からアパートまでが一番スリリングでした。
なぜかというと、家族、という足手まといがくっついていたからですね。
子供はエイリアン2のニュートばりに泣き叫び、
奥さんは旦那に「アレして、コレして、助けて」とおねだりし続けます。
足手まといがいなくなると、ブラピさんはのびのびと活動するわけですが、
その分、中心地点に〝いるだけ〟なことが増えます。
しかしそういうマイナス点を除いたとしても、
パニックホラーとして凄く良くできています。
バイオ・ハザード(ゲームの方)など、
シメっぽくなく、お説教臭くもない感染パニックが好きな人には
大好物と言えます。
ブラピがスキだという人より、
この手の映画が大好き、という人なら、普通に楽しめると思いますよ。
オススメです。

さて、続いて、今作の内容以外の問題に関して、です。

上記で普通に単語として出したように、この映画はゾンビ映画です。
ZのZは、ゾンビのZなんですね。
ほかのなにものでもなく、ゾンビの映画でした。
感染パニックであり、四六時中ドンパチの音と悲鳴が鳴り響き、
全編を通して落ち着く時間はほんのわずかです。
家族の時間は、冒頭だけです。
しかもそれも、ずーーっとゾンビに追い回されてます。

しかしながら、公開時の取り決めで、
この映画は「ゾンビもの」であることを伏せられました。
CMでは〝未知の戦い〟によって〝家族を守る〟ことが強調され、
ブラピの戦争ヒューマンドラマと勘違いした人が続出したそうです。
まぁ、そのように宣伝されたら、そのように受け取りますよね。

この映画はわたしの感覚からすると、
グロさは10点中2点くらいだし、
恐怖表現も、お笑いに近いです。
ドッキリポイントは多いけど、予定調和で収まっているので、
心臓に悪くもないです。

でもですねー
知らずに小学生の時、ホラーの金字塔として知られる
「ハロウィン」を観てしまった私には、
パニックホラーの耐性もなくコレを観てしまった人の気持ちがよく判るんですよ。

あまりいい趣味ではありませんが、
私は心臓を悪くする前からショック耐性が低いので、
映画の冒頭を観て感情移入をすると、
そのキャラが死ぬかどうか、少なくともハッピーエンドかどうかは調べます。
(知らずにものすごくツライ思いをすることが多かったせいですね)
最近は映画館に行けなくなったので、
特に公開後の作品はネタバレしてくれる人がいますんで助かります。
でもですねー
展開を知った上で観たら、ワクワク度は低くなりますよ。
だからやっぱり、できたらネタバレなしで、
どうなるのか、ドキドキしながら鑑賞するのが映画の正しい見方だと思います。
だからこそ、
宣伝に於いてミスリードすることは、邪道ではなかろうか?
と思うわけです。

わたしはこの作品、すごく面白かったけど、
嫌いな人だっているわけですよ。
そういう、「ゾンビもドッキリも感染も本気でイヤー0(>_<)0」という人に、
先入観なく観て欲しいという気持ちはわかりますが、
わたしにはやっぱり、
「だまされて嫌いなジャンルの映画を観た」苦しみの方が同情できるんですよ。

「ぼくのエリ」の、サブタイトルやモザイク問題などもそうだし、
「プロメテウス」の人類の起源推し宣伝もひどかったし、
わたしは観てないけど、あのトラのヤツ(笑)
なんかすげー3Dでアカデミー賞とかノミネートされたアレ、
(いま調べたら「ライフ・オブ・パイ」)
アレも、CMであきらかに遭難ものとして最初ミスリードしてたよね。
わたし「友達になったトラ食って生き延びるって話なんじゃろ?」とか
したり顔してたもんね_/>O
(まったくそういう話ではないそうですよ)

これが本だったら、ほとんど詐欺ですよ。
だってヒューマンのジャンルにホラー置いてたら、読者が怒り狂うからね。
BLの棚に美少女とか、その逆とか、
嗜好って、相容れないじゃないですか。
興味がわけば、自然と近づきますよ。
強制的に、いいから観てみろ、って言われるのが、
一番無理じゃないですか?
どんなにイイ映画でも、かえって毛嫌いされちゃいますよ。

「ワールドウォーZ」は、本当に、このジャンルの映画としてはたいへん面白かったので、
宣伝の問題に関しては悲しかったです。
ホラーとか超苦手な子(中学生くらいの男子)の感想を読んだら、
可哀想になっちゃいましたよ。
わたしはあんなに楽しかったのに、
この子はもう、トラウマもんになってましたからね。

ところで、
いろいろとイライラさせられる主人公の奥さん、
なんと、声の出演が篠原涼子でした。
涼子はスキだけど、声優としてはヘタだったな~(笑)
先日の剛力さん同様、一本調子でのっぺりして聞こえるんだよな~
……そんなにイヤなら(イヤなんじゃないよ)字幕版観ろよ、
というご意見もありましょうが、
四捨五入したらもう50歳になっちゃうんですよ、
字幕ツライです、勘弁してくださいね。
それにわたし、大根女優ってキライじゃないんですよ(笑)
昔からアイドルが好きだからね。

この、「あえて作品内容をミスリードする」宣伝方式は、
なんとなーく、続きそうな気がします。
許してしまわない方がいいと思うんですが、
どうなっていくんでしょう。
今後が気になる問題です。


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