「ドリーム・ホーム」 [映画]


     

ものすっごい夢のあるっぽいタイトルですけど、
グロ・ホラーです_/>O

【あらすじ】
ヒロインのチェンさんは湾岸にそびえ立つ高級マンションを購入するのを夢見る銀行員。
小さい頃から貧しい生まれによって損をしてきたチェンさんは、
昼も夜も働いて貯金を貯めますが、買いたいマンションの価格は高騰する一方。
心の拠り所であるはずの家族は病んで、むしろ貯金を目減りさせるアリサマ。
心もふところも満たしてくれない恋人には奥さんがいるし、夢も希望もありません。
あのマンションにさえ住めば幸福が待っている、とかたくなに信じるチェンさんは、
とうとう一線を越えるのでした。
……しかし一線を越えてまで手に入れた超高級マンションも、
リーマンショックによって、いよいよ下落をはじめるのです……。
                          おわり

観る前は、「ビー・デビル」クラスかと期待しちゃったんですよね。
そしたらアカンかった。
グロホラーとしては、とっても良くできています。
久し振りの香港映画だったんですが、細部は悪くなかったです。
でも、大枠がわたしには合わなかった。

まず、物語の根幹であるチェンさんのムチャクチャな暴走が理解できないのです。
ひたすら、「ビクトリア・ナンバーワン(マンション名)でなきゃダメ」
と、一つのマンションに固執して、まさにそれこそが物語を構築する基礎なんですが、
その理由がどうしてもピンと来ない。
湾岸マンションにこだわる理由の一つは、彼女がずっと貧乏で、
高層マンションの日陰となった地区で暮らしているから、です。
また、土地の少ない香港では、ステータスとなるマンションは限られていて、
そこで暮らすだけでセレブになれる〝らしい〟。
他にも細々とはあるようだけど、どれも親近感が湧きません。
なぜなら彼女以外の人は、旅行して遊んだり、普通に毎日を暮らしているから。

(以下ネタバレ有ります)
たとえば、彼女は妊娠セレブ夫人を残酷にぬっコロスんですが、
別に彼女にツンとされたわけでもないし、
彼女に似た感じの人に冷たくされたわけでもないんです。
妊娠夫人を胎児ごとぬっコロスのが行き当たりばったりだというなら、
次に麻薬中毒チンピラたちをギャルごと全滅させるのも、
理由はありませんでした。
警備員や警官たちも残忍な殺し方をしてしまいますし…。
猟奇殺人が起こったマンションとして、価値を下げることが目的だった、
というオチなわけですが、
うーーーーーーん(-。-;)

話の途中で何度か、
どうしてビクトリア・ナンバーワンにこだわるのか、
他にもマンションはありますよ、という忠告はされるのに、
チェンさんは譲らないんです。
でも理由がポヤーンとしてるので、殺人に至る(実父まで殺してしまう)
気持ちが理解しにくいんです。
ただのコロシなんですよ。

その点「ビー・デビル」はホントに凄かった。
ボクナムが殺人に至った経緯は、もうメチャクチャ納得させられるし、
むしろその残酷な殺害方法も、「イケイケ、やってしまえ!」
と思わされるだけの説得力があったんです。

でもねー、この作品は、たぶんとにかくグロ描写をどれだけエグくするか、
そっちがメインでしたねー。
最終的にチェンさんはマンションを手に入れるわけですから、
感情移入できていたら、達成感があるはずなんですが、
まったくありませんでしたね。
ものすごく高いマンション、ってとこは理解できるからだと思います。
人殺しまでして物欲を満たそうとするなら、そこに至るまでの説得力が欲しかった。

あと、もう一つ気になったのは、ここ、セレブのマンション…なのか?
っていう点(笑)
香港のマンション事情がわからないので、
そこらへんがリアルなのかどうかは判らないんですが、
とにかくマンションが安そう。
眺めは良さそうだけど、高級感とか、広い! とか感じません。
玄関はいってすぐリビングとか、水回りとか普通のアパートみたいです。
女の子が便器で吐いてるシーンとかあるんですけど、
狭くて、セレブ感ゼロです。
こんなに安そうな部屋、ホントにそこまでして欲しいのか? 
って感じなのも、ヒロインに同調できない理由でした。

しかし、グロい、エグい、という点では、
ほんっとーにひどい(褒め言葉)。
近年観た中では、ピラニア3Dクラスのひどさ。
わたしはやっぱり、大枠で納得しきれなかったので、
イマイチ好きになれませんでしたが、
この手の描写が好きな人にはたまらぬものがあると思います。
わたしが納得しきれなかったマンションへの執着も、
まったく描かれていないわけじゃなくて、
ちゃんと描いてはいますし。

余計なお世話ですが、
恋人の奥さんも妊娠していて妊婦に逆恨みしているとか、
かつて大好きだった幼馴染みがヤクの売人に成り下がって
チンピラの手下なんかやってる、とかって描写が加わっていたら…。
あるいは、副業のアパレルショップにギャルたちがきて、
パパにおねだりしてブランドものを買って貰っているのを、ずっと苦々しく思っていた、
などの付加があったら…。
もう少し、チェンさんに対する同情も生まれたでしょうが、

コレは要するに、超絶我儘なサイコパスが高い買い物を値切るお話、でした。


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