『からくりピエロ』とOL [ドラマ]


     
『おっさんずラブ』

個人的なドラマの感想なので、以下にたたみます。
人の意見も平気だよ、という方だけ、
お進みください。



『おっさんずラブ』終わってしまいましたね(T-T)
終わっちゃってから初めて、
「あんなに好きだったんだ」と気付いたドラマでした(笑)

というのも、三十年くらい前からBLの世界にいて、
ごくごくまれに、実写ドラマってやってたじゃないですか。
映画とか、男性同士で。
たいてい、見知らぬ俳優さんで、原作なんかあると、
まぁ、原作はガン無視で(笑)
別にそれが理由というわけではなくても、
私は三次のBLは苦手だったし、
そうそう見はしませんでした。
たぶん、皆さんもそうじゃないかなぁ。

30年たって、
『おっさんずラブ』なんてふざけたタイトルで始まったドラマ、
スタンスとしては斜めに観るしかないですよ~。
実際、〝ラブコメ〟として始まったドラマは、
すごくよくできているうえ、
何より俳優さんたちがマジメに演じてくださっていた。
私に限らないと思いますが、
今までのBL実写で何が一番イヤって、
俳優さんの
「俺ゲイじゃないし、こういうのイヤイヤしかできないし」
という演技がもろに伝わってきたことです。
殊更に男っぽく演じられてシラける、なんてことが何度あったことか…。

なぜか今、『おっさんずラブ』(以下OL)の俳優さん女優さん陣は、
生真面目に演じてくださって、嫌悪感を覚える箇所は一つもありませんでした。
特に驚いたのが、
二話の副音声で主演の田中さんが、
「春田(主人公)がどちらにも(乙女ぶちょーとS系後輩)好かれなきゃならないのに、
そのままのセリフだと嫌われると思ったら自然と変えてた」
というようなことを言っていたことでした。
春田が可愛くて愛される奴になるように演じられていたのかと。
だからあんなに豊かな表情や仕草は幼稚で、
子供が自然に愛されるのと同じような媚態を作っていたのかと。
そんなことしたら、普通の男性俳優さんは
「俺がカッコ悪くなる」
とかなんとか厭がりそうなものなのに、
田中さんはあくまでも春田が
〝庇護欲の強い男性に〟愛されるように演じていたんですね。

そうして観てると笑えるところだけでなく、
寂しそうにうなだれているところや、
わざと〝俺は何も知らない〟ととぼけているところなど、
〝愛される〟シーンがあふれかえっていて、
いまだに繰り返し観ては『可愛い』と思わず感心してしまうんですよ。

『からくりピエロ』に関しては、元々ボカロの歌で、
有志が牧(S系後輩)の気持ちをメインにMADにしたものです。
これが牧の気持ちと合わせて聴くと、
涙ボロボロで(笑)
やっぱり特に冒頭の、

〝待ち合わせは二時間前で ここに一人 それが答えでしょう〟

という歌詞がね、もう(T-T)
物語の中でも、牧は最後の最後の賭けで、
春田を呼び出して待ち合わせをしますが、
毎度のことながら春田の方はゴタゴタが起こって、
携帯電話を忘れ、待ち続けている牧と連絡が取れません(T-T)
確かにこういう展開は、
BLではもう掃いて捨てるほどありましたよ。
少女漫画にもね。
でも、誰だって弱いんだと思い知らされる展開ですよ_/>O
なんでケータイ忘れちゃうの、とか、
なんで遅くなっても家に押しかけないの、とか、
もろもろはあるとしても、
これでいいんですよ!
BLのせつなさ、それがこれですよね!

その後の歌詞も牧のせつない気持ちにピッタリでした。
まぁ、ほんと、BLではよくある展開で、
〝なぜちゃんと気持ちを確かめないんだ?〟
というのがありますが。
怖いんだし、答え(自分の中で)は出てるし、
こういう気持ちをずっと抱えていたら壊れちゃうし、
何より〝君には幸福になって欲しい〟という、
BL特有の強烈な逃亡心理が牧にもあって、
恋心の破綻ですよね(T-T)

春田ののほほんとした恋愛と違い、
牧のヒリヒリする恋愛もよかったです。
半分以降からは、春田も牧の気持ちが伝わって、
〝ちゃんとなんなきゃ〟
と、部長や蝶子さん(ぶちょーの奥さん)にも真正面からぶつかっていくのがよかったです。

何よりまぁ、とにかくライバルをイヤな人にしないでくれたのは、
本当に素晴らしいことだったと思います。
ちず(春田の幼なじみ)も蝶子さんも、
描き方しだいで簡単にイヤな女になってしまっていたと思うので、
それはすごく観ていてホッとできました。

最初にあまりのめりこめなかったのは、
たぶんこの話は、
春田とちずがくっついて、
なんだかんだあるけどぶちょーも蝶子さんと元サヤで、
牧がそれこそ上海に行くことになって、
武川さん(牧の元カレ)が追いかけるとか。
なんか、要するにメインは男女モノになっちゃうんでしょう?
と、皮肉っぽく覚悟してからなんですよ。
それが、まさか、途中もラストもずっと、
ずっとBLとは……_/>O
やられた、って感じです。

30年待つと、こういういいこともあるんですねぇ。
生きてて良かったです。

なんやかんや、
まだこのドラマを観ていないというBL好きの方は、
ぜひ心安らかにご覧ください。
幸福な気持ちで最後まで観られるのは間違いありません。





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