『22年目の告白─私が殺人犯です』を観ました。 [映画]

……近況……
連休明けにカテーテル検査で入院しますが、
二泊三日で戻り予定です。
糖尿はまだ節制次第で回復しそうです。
ご心配おかけしましたm(__)m

     
『22年目の告白-私が殺人犯です-』
2017年公開作品。
原作は韓国映画の『殺人の告白』
↓ こちら
     

二時間で終わらせたのは邦画としては素晴らしい。
半分までは原作にかなり忠実に作ってあるけれど、
途中から登場人物の変更などが始まり、
そのあたりから怪しくなってくる。
『MONSTERS』もそうだったように、
表現がしだいにありきたりになっていってしまい、
この物語のキモ、この物語のハラハラ感などがスーッと消えてしまう。
俳優陣がこれまでになく頑張っていると感じたので、
よけいにもったいたないと思った。
特に女優陣は、邦画ではめずらしくバッチリ化粧などせず、
犯罪被害者を悲惨に演じてくれていた。
予算的な問題での尻つぼみ感なのかもしれないが、
邦画の犯罪映画としては、これまでになく良作だと思うので、
あまり大きく期待せずに観ると良いと思います。

また、個人的にポイントアップだったのは、
何をしているのか判明しにくいほどの暗闇が多用されていたこと。
雨天シーンはどうしても韓国版に軍配が上がるが、
今作はかなり暗闇と光の表現が犯罪を描くのに活用されていてGJ。
日本でも映画撮影にいろいろな地域が積極的になってくれたらいいのだけれど、
谷根千とか、都内でもサスペンスアクションに適した地形はあるのになぁ。
どうしても平坦でいつも同じような景色になってしまうのが、
邦画の難点(;_;)

以下、ネタバレ有りの感想続きます。






なぜ冒頭に俳優の名前を羅列したんだろう…。
開始早々、三人目で仲村トオルの名前が出てきたとたん、
「ん?」
となってしまいましたよ。

そしたら案の定、なんでやねん、って感じで、
キャスターが真犯人という(^^;;
動機とか、なぜ邦画はチクチク説明したがるんだろう?
しかも九割方、トラウマとかなんだもの_/>O

この原作のキモは、
犯罪被害者家族が結託して、
司法から逃れてノコノコ出てきた犯人を殺そうとして、
なかなか殺せず、
それどころか同じ境遇であるはずの刑事に邪魔されて、
血の涙を流さんばかりに「ムキーッ」となるまでが前段。
ところが中盤、
「俺が犯人だよーん」
と、人の神経を逆撫でするタイプの、
日本だったら絶対永野にやって欲しかった犯人候補がもう一人現われ、
マスコミ、被害者たち、警察、大混乱。
特に〝面白い〟のは、
ハンサムな第一犯人に夢中のシンパな女子高生などは、
「みんなイ・ドゥソク様が真犯人に決まってるわ!
彼を信じるのよ!」
と、拡声器持って扇動までする始末。
殺人犯を信じる、という訳のわからない社会の混乱の中、
いよいよ二人の犯人候補と刑事がテレビの生番組で対決することになる、
という、「待ってました」という流れ。
これが邦画版にはない_/>O

日本版では中盤に至る頃には、事件と無関係なはずなのに
突出してシーンの多い仲村トオルが犯人だとバレバレになる。
また、コミカルすぎるが同情を禁じ得ない犯罪被害者家族たちの結束も、
日本版にはない。
日本版では、犯人として名乗り出る藤原は、
刑事である伊藤の妹の婚約者であり、
彼女を殺されたことで自殺未遂をはかり、
別人となって真犯人をおびき出そうとする。
韓国版では犯人役をするイ・ドゥスクは母親を殺害されている。
このことがあるので、すべてが発覚した後の、
被害者家族の一員であり、
刑事との結婚を許せなかった資産家の母親との間に、
ほんの数分で強い絆が生まれるんですよ(/_;)
確かに恋人を殺害された方が判りやすい、
でも母親の方が、憎悪が持続する同情が沸いたんですけどね。

韓国版のクライマックスは、
被害者家族全員+警察+マスコミ
VS真犯人、
という大がかりな図式がカタルシスとなるわけですが、
日本版では、
藤原+伊藤VS仲村
見学マスコミ二名、という……
尻つぼみ感が否めないのが悲しい。
前段がとても良かっただけに、
なんで途中でオリジナルにしちゃったのかなぁ
というのが、わたしの強い疑問でした。
オリジナルにするとしても、
時効まで計算して逃げてた犯人が、
どうしてラストは「殺せ~」みたいになってしまうのか、
それはもっと往生際悪く逃げまくって欲しかったし、
動機を作っちゃうから、ラストが矛盾しちゃうんだと思うので、
そこらへん、もう一ひねり観たかったなぁ、
などと、途中までほんとによくできてたから期待しちゃったのでした。

この手のサスペンスドラマが好きな人にはオススメです。
韓国版ほどダウナーではないし、
テレビドラマよりは良作として観られると思います。

あ、藤原君、伊藤さんのお芝居も抑え気味で良かったと思います。
仲村トオルは相変わらずだったなぁ(笑)



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