ずっと観たかった『グリーン・インフェルノ』を観ました(^_^)/ [映画]

     
『グリーン・インフェルノ』
2014年公開作品。
イーライ・ロス君監督作品。

食人族をメインテーマにしたすがすがしいまでのホラー作品です。
『ホステル』も良かったけれど、
これも素晴らしかった!

いくつかの点で誤解してほしくないのは、
まず私がそもそもゴア映像を欲していないということ(-_-;)
そういう映画ばかり観ていると、
気色悪いグログロが好きなんだろう、
と、思われがちですが、断じて違うので、
そこらへんは誤解して欲しくない!
むしろ私は痛い映像とか大嫌い!
汚い映像とか、無意味なピタゴラで殺戮するマシーンとか、
バカみたいでホントに受け付けません。
だから逆に言うと、
グロだーいすき♪とか
おっぱいぽろりん女子を追い回して殺してくれー♪とか
手足や腹を切る残虐シーンをもろだしにして♪とか
舌を抜いたり脳みそ食ったり耳や鼻を削いだりしまくってくれ♪とか
もうね、そういう、ゴア表現が大好きだ、
という人にはこの映画は全く向きません。
予告や雰囲気でそれを期待していると、
最初から最後までなんの期待も答えてもらえないと判るでしょう。

この手の、人間を痛めつける作品には
大まかに二種あると私は思っています。
一つは人間の本質を問い続けるためのサディズム。
うるさいことは言いたくないけど、実は社会的な裏テーマがあったりする。
(『ホステル』とか『羊たちの沈黙』とか)
もう一つは、快楽、娯楽、興味のためのサディズム。
命とは? とか、命は大切、みたいなテーマを打ち出してくるけど、
それはあくまで残酷シーンを描くための言い訳なので、物語は薄っぺらい。
(『ソウ系』とか、『ファイナル・デッド系』とか)
私はあくまでも、人間の本質を描いた前述の作品が好きです。


(以下、ネタバレ有り感想)

今作、『グリーン・インフェルノ』は、
メインのテーマは食人ですが、
この行為そのものは、実際のところ理由は不明のままです。
(ちょっと解説が長くなるので、興味のある方だけ読んでください)
なぜなら食べる人たちとは言葉が通じないので、
『お前たちは美味しそうだから食べる』とか、
『敵だから食べる』とか『儀式だ』『はら、へった』
とか、そういう説明がいっさいないのです。
ただ、漠然と、儀式的な意味合いがありそうだなぁ、とか、
文明を押しつけてくる現代人、
縄張りを侵してくれる開発者たち、を拒絶しているようだ、とかは感じます。
だからって食べるのはどうだろう? ってもんですが、
それはいわゆる流儀、ってやつだと思うんですよ。
そしてロス君はちゃんとそういう風に描いてる。
この、食べられちゃう若者たちは、
人の国まで立ち入って、知り合いがいるわけでもない、
どういう人たちかも知らない、
勝手に善良だと信じてる部族を守るために、
同じ文明人を我が身を盾に守るわけです。
序盤部分に、一部の未開の部族には〝こういう残酷な儀式〟がある、
っていう講義が出てきて、
ヒロインも受講してんですけど、
後に自分がその通りの目に遭って……
そういうのって、なんていうんでしょうね?
因果応報とも違うし、もうちょっとちゃんと勉強しなさい?

他人の家には他人の流儀があって、
もちろん法律違反なんかは言語道断だけど、
たとえば占いや幽霊を信じています、
って人に、『そんなものを信じてはいけません』
って真剣に言い聞かせようとするお節介さというのかな。
それは人によっては、
『わたしは父を信じます』
だったり、『この石は神です』だったり。
この食べられちゃう人たちは、そういう、
一種の無垢さ、
狂気を含んではいるし、文明社会とは相容れないけど、
それでも純粋な、太古からの連なりみたいなもの、
そういう触れなくてもいいものに触れて、
食べられちゃうわけだよね(^^;)

『ホステル』同様、ラストに至るまでの一つ一つの描写が丁寧です。
麻薬をやっていた男は生きたまま食べられてしまうし、
非処女の女性たちは処女のヒロインより先に犠牲になります。
また、序盤に登場する森の守護神的な猛獣が、
ラストでヒロインを見逃すと、
ヤハ族の追っ手もそれを尊重して見逃してくれるとか。

微妙なのは、ヒロインサイドの人間がヒロインしか生き残らない点です。
グループの中で明らかに悪い奴は次作のためか生き残り、
そのイヤミなGFは初期であっさり死にます。
最初の飛行機事故でもう少し生存者を増やして、
グループの良い奴はもう二、三人助けて上げて欲しかったです。
好きだった子の肉を食べてしまった女子が反射的に自殺してしまうシーンは、
『ホステル』で助けた子が自殺してしまったシーンを彷彿とさせられます。
ロス君はこういう残酷な感傷というか、
女性らしい機微を描くのが巧いです。

観る前は体調もそれほど良くないし、
どうしようかなぁと悩んでいたんですが、
ずっと観たかった作品ですし、
ロス君への信頼から観て良かったです。

グロ描写がイヤだと思う方がいるかもしれませんが、
ロス君はそれほどひどい描写はしません。
(だからむしろ、逆にもろのゴアが好きな層には嫌われてるよね)
というか、そのシーンが観たくてスローにしたりしない限りは、
むしろあっさりと終わらせて想像で補わせるタイプです。
一番イヤなシーンは、何をされるか判らずにヤハ族の人たちに
村に運ばれていくとこですね(-_-;)

文明VSヤハ族 のシーンでヒロインがどう行動するか、
これこそまさに私の観たかかった人間の本質を問いかけるシーンです。
『ホステル』で主人公が悲鳴を聞いて戻るか逃げるか苦悩したのと同じ。
多少の血みどろ、グロ、ゴア描写が我慢できるなら、
ぜひぜひ観て欲しいオススメの映画でした。



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