土曜プレミアム 『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』を観ました。 [ドラマ]

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フジテレビ土曜プレミアム
『天才探偵ミタライ~難解事件ファイル「傘を折る女」~』
楽しみなような、怖いような。
でも島田先生が満を持してゴーを出したわけだし。
思い切って観たのです(>_<)

「傘を折る女」は、マンガ化もされていますし、
映像にしやすいのかな?
もしかしたら御手洗潔という人に近づくのに、
初歩的な作品として島田先生が推奨しているのかな?
私の感覚では、御手洗のシリーズとしてはかなり新作の部類に入っているイメージです。
(2006年発表作)

意外だったのが、感想を調べてみると、
原作を知らなくて観ている人がすごく多かったことでした。
私自身、御手洗のシリーズを知ったのは物凄く後で、
二十代の半ば頃だったと思いますが、
それまで読んでいなかったことを大後悔した思い出があります。
図書館で借りた「暗闇坂の人喰いの木」が初めて読んだ御手洗作品だったことを思うと、
揺るがない趣味だなぁ自分、と思います。

その後たくさん読んで、どれも好きなんですけど、
一番引き込まれたのは「アトポス」でしたねぇ。
石岡君が不在という、カズミストにはたいへん申し訳ない選択ですが…。
(カズミスト=熱狂的な石岡君びいきの女性ファンの皆様。
石岡君の幸福、ひいては御手洗との優しい日々を祈っている)
でも、もしこのままシリーズを映像化してもらえるのなら、
私的には反対に、御手洗不在の「龍臥亭事件」が観たい。
「龍臥亭事件」は津山三十人殺しなど、
独特の迫力で脳裏に映像が浮かぶのが魅力です。
また、御手洗と離れて暮らさざるを得なくなった石岡君のせつないぼっち感と、
ようやく悲しい過去から卒業できた感じがあって、好きです。
御手洗ラブのレオナと並び、本心のわかりにくい里美ちゃんも、
女性ファンには不人気のようですが、
どちらも島田荘司ファンを自認する女性ファンに対する、
島田先生の優しさを彷彿とさせられて、私は好きです。

えーと、ドラマの話題に戻さなきゃ。

玉木宏さんの御手洗は、紳士的で憂いがあって、
後期の御手洗を想像させられました。
御手洗という人の私のイメージは、
常に躁状態か鬱状態にある人で、ノーマルでいる時がむしろめずらしい、
という、それこそベネディクト・カンバーバッチ版ホームズがぴったり(笑)
人前で踊り出したり、愛する犬が病気で(ひとんちの)死にそうになったり、
そういう人。
この人の性は想像できないので、個人的にはBL幻想ゼロです。
ごく個人的には、役所広司さんが見た目の想像マストでした。

堂本光一くんの石岡君は、原作の石岡君というより、
まさにカズミストのために創作された、
優しい優しい石岡君だと思いました。
私の原作からのイメージだと、
御手洗を同格同年代の友人として気安く扱う唯一の人、
御手洗の悪いところをズケズケと指摘して矯正しようとするのは、
その何百倍もの感謝と信奉を捧げているからこそ、
御手洗自身が心の大切な宝石箱に大事にしまっている青春の幻影(*´ -`)
そうメーテル的な(*´ -`)
「さらば遠い輝き」を読んで、レオナと共に泣き崩れた女子は多いのでは。
わたしも泣いたなぁ(*´ -`)
御手洗よ、君の中の石岡君は、そんなにも美しく清らかなんだな、
と。
青春の幻影相手じゃ、レオナもかなわないよね(*´ -`)
えーと、つまり、堂本君の石岡君は、
そういう、現実的な石岡君というよりは、
ほぼみんなの理想的な和己君だった気がしました。

正直、御手洗に関しては私も含め、
ファンはみんなハードルが低かったと思うんですよ。
言い方は悪いですけど、
「どうせ誰がやっても(本物の)御手洗じゃないんだし」
って気持ちでね。
でもカズミストは違ったと思います。
カズミストは絶対に、
たとえば〝狂言回しのワトスンポジション〟と聞いてオッサンが連想するような、
えなりかずきくんとか、伊藤淳史くんとか、
へたしたら若いころの前田吟とか愛川欽也みたいなのを連れてこられたら、
発狂してたと思うんですよね。
おそらくそこの配役を一番、島田先生も気をつかってくださったんじゃないかなぁ。
島田先生、本当に私たち女性の妄想に優しい(T_T)
その点で、堂本光一くんというのは、絶妙な配役だったと理解しました。
だってすごいみんな喜んでるから(笑)
私的には、もっと御手洗ってキ○ガイじみてるよな、とか、
石岡君なら女刑事に無礼な御手洗をガンガン叱りそうだ、とか、
よくできているけど物足りない、という思いがあったのですよ。
でも、放送後の女性の意見が圧倒的に良好で、
原作読んでいない人も、本能的にカズミストになっててびっくりしました。

御手洗に対する女性ファンの代表がレオナですから、
「あなたが私を見てくれなくても、私は一生あなたを見てる。
あなたにとって恥ずかしくない私でいたい」
という立ち位置だと思います。
(私はコレにあたりますね)
石岡君に対する女性ファンの代表を里美ちゃんとするなら、
「先生は先生らしくしてくんなきゃイヤ。
ずっと御手洗さんとイチャイチャして」
って感じですかねぇ。
そういうカズミストの願いを可能な限りかなえていた!
それがこのドラマだったと思います。

女が傘折ったからどーしたとか、
すげー性格の悪いオバサンが殺されたとか、
正直クソどーでもいいドラマになってたかもしれないですが。

ただ、島田先生の世界観で表される袋小路の人々の描き方は、
(今回はバス運転手さんや、バスジャック被害にあったお母さんなど)
原作通り、人間の心根はおおむね善なると思わせてくれる演出だったと思います。

ドラマは放映済みですが、
原作に興味を持った方にいくつかオススメしておきます。
(他にもたくさんオススメ作はありますが、まずは島田作品に触れてみて欲しいです)


     
「暗闇坂の人喰いの木」
シリーズにこの後も登場するハリウッド女優、松崎レオナの登場作。
グロくて背徳的で、長い!
しかし石岡君に対する御手洗のもにょもにょな態度や、
石岡君の御手洗に対するもにょもにょ感も女子としてはもにょもにょさせられるのでオススメ。

ちなみに、今後レオナを誰かがやるとしたら誰だろう?
と、想像してみたけれど、
ハーフで歌がうまくて美人で英語が堪能、
って、思い浮かばない _/>O
菜々緒ちゃんが近いと思うんですが、ハーフではないよなぁ。
美人モデルは多いけど、棒だろうし(>_<)


     
「異邦の騎士」
御手洗と石岡君の出会いを描いています。
なぜ御手洗が石岡君に対して特別な思い入れをするようになったのか、
なぜ石岡君が御手洗に絶大な信頼と感謝を捧げるようになったのか、
シリーズのキッカケが詰まっています。


     
「御手洗潔のダンス」
御手洗シリーズというものが、どうしてこんなに特別なのか、
ある意味もっとも理解できる短編集です。
とにかく島田先生という方は、私たち読者への愛に満ちています。
ちょっと怪しい言い方になりますが、
この先生に会えて良かったなぁと思える一冊。


     
「水晶のピラミッド」
奇想天外なトリックもさることながら、
嫉妬のあまり問題発言しまくりのレオナが面白いのです。
また、問題提起に対して明確な答えを提示しなかった島田先生の、
これも一種の優しさに感謝するのでした。


     
「龍臥亭事件」
ここに至るまで順番にシリーズを読んでいると、
相当なカズミストになっているか、御手洗ラブになっているはず。
その上でこの作品を読むと、いろんな意味で泣けるのです。
個人的には、津山三十人殺しを題材にした部分に驚愕することしきり。
また、島田先生独特の筆感によって連想させられる
〝龍臥亭〟という特殊な魅力を持つ旅館に滞在する旅情感も、
何度となく読み返してしまう個性的な作品です。


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