説明しにくい「エリジウム」 [映画]

     

「エリジウム」
マッド・デイモンさん主演。
「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督作品。

「第9地区」がまったく思い入れのない、わたしにとっては凡作というか、
すげーつまんない映画だったので、
コレもそもそも興味がなかったのですが、
WOWOWで宣伝されている時の映像や煽りが好みだったので、
録画して視聴しました。

そしてわかったのは、
私はやっぱりこの監督の作品って、合わない、ということでした。

「第9地区」の時もそうでしたが、
全体の美術センスは素晴らしくて、
SFとして魅入られる部分は多々あります。
しかしそれ以外は、お話らしいお話はナイかなぁ。
荒れた貧しい街を舞台にした陳腐なテレビドラマみたいです。
SF要素を抜くと、感動とか共感とか情緒とか、嫌悪からくる怒りとかがない。
何もかもがうっすら薄味。

なにせとにかく主役が最初からずっとスカスカなので、
応援する気にはなれないし、嫌いになる程の要素もない。
でもコレ、「第9地区」の時も思ったんですよねぇ…。
たぶんこういう成り行き型の凡庸な主人公が好きなんですね、この監督は。

正直、同じ設定で面白く仕上げることは、ある意味簡単だと思うんですよ。
いわゆるハリウッド風味に徹底してしまえば。
だけどそうしたら台無しになるというのも事実で、
いたずらに貧民を救うための反乱メインにしたら、
それはそれでこの監督の趣旨からはずれるんだとは理解できます。

……ただね、顔面吹っ飛ばされても生きてて、
妙に主人公に突っかかってくるヨゴレ悪役や、
さしたる理念を説明せず、とりあえず権力を欲している
女性統治者志望の好戦的なジョデー・フォスターさん、
スラムの死病にかかった連中などを、
金と引き替えとはいえ救っているハッカーの反乱組織など。
スターウォーズ的なステロタイプのキャラはたくさん出てくるんですよね。
幼馴染みの初恋の女性と、その白血病の娘とか。
このキャラ設定、ホントに必要???
この設定を抜いたらスカスカ感があらわになるのは判りますが、
その部分を世界観で埋めて欲しかった。
そういう点では「第9地区」の方が良くできてた気がします。
SFなのにリアル感がないのも困った点です。
近いのは「ハンガー・ゲーム」。
貧しい人がどうやって働いてヒエラルキーの底辺で甘んじているのか不明だし、
金持ちが普段どうやって搾取の仕組みを活用しているのかもわかんない。
お金持ちはパーティーざんまい、
貧民はうつむいてバスに乗って工場に行き、
すげー危ない光線で〝ナニか〟を作ってる。
曖昧だよ…。

この監督は熱烈な支持者もいるようだけど、
私には合いません。
好きな人はハマるのかな?
SF世界がどーたらより、
転がるように生きて、最後は取って付けたような感動シーン、
というパターンが好きな人にはオススメ。

でも、そういう単純な話、むしろ私は好きなんだけど、
なんで面白くなかったのかなぁ…。
謎です。


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